白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2003年10月18日(土) 似るなんて言わないで

今、働いている職場の人達はウンザリするほど、食べ物の好き嫌いが多い。

食べ物の好き嫌いが多いのは罪ではないが、ほとんど好き嫌いのない人間としては何かにつけてツマラナイ。旅行へいったり、あるいはちょっと出掛けた先で「3時のオヤツになりそうな美味しそうなお菓子」を買ったとしても「アンコは駄目」とか「アンコでも粒餡は食べられない」とか「カスタード嫌い」とか「揚げ煎餅は嫌」とか「柚子風味だったらいらない」とか、みなが「美味しい」と食べてくれることは、まずないのだ。「甘いものが嫌い」とか「お菓子は食べない主義」ならともかく「食べるけど○○は嫌い」という人が多いと、正直なところ「美味しいものを買っていこうかな」って気にはならないものだ。そんな訳で御土産を買うにしても、単純なクッキーか、お煎餅といった面白味のないものばかりを買っている。

好き嫌いが多い人というのは、だいたいからして食べ物への執着が薄いのか、その人の好きなものを持っていったとしてもリアクションが希薄である場合が多くて、私の職場内オヤツ生活は、とても味気ないものになっている。

が、しかし全員が全員、リアクションが薄い訳ではない。

珍しいお菓子も食べるし、食べ物を貰うと嬉しそうにするし、美味しい時は美味しいように、そうでない時もそのように生きた反応をしてくれる人が1人だけ存在する。その人と私は味覚が似ているらしくて、たとえば老舗の上生菓子なんかを戴いて「さすがに上品な甘さだなぁ」などと心の中で1人呟いていたらば、その人も「おっ。上品な甘さで美味しいな」と言っていたりするのだ。それはもう「魂の双子?」と思ってしまうほどに、まったく同じ感想を持ち、また甘いものを食べたくなる周期まで同じらしくて「ちょっと甘い物が欲しいな……」とその人が呟く時は、私も甘い物が欲しいと思っていたりする。

その人の名は上司J。私が職場内で蛇蠍のごとく嫌っている男だ。

人にその話をすると決まって「そんなに似ていて嫌いってことは同族嫌悪なんだよ」と言われるのだけど、断じてそんなことは無い……と信じたい。だって、あんなに疑い深くて、偏狭で、不親切で、意地汚い人間と私が同族だなんて、あんまりだ。それとも私が彼くらいの年齢になったら、あんな風になるのだろうか? それも嫌過ぎる。あぁ……

閑話休題。

今日は突発アルバイトなど。パソコンの個人教授。個人教授という言葉には何やらエロティックな響きがあって素敵だが、相手は血縁のある爺さまなので、ちっともエロティックではなかった。情熱指導に自家製マニュアルをサービスしてきたが、たぶん時間が経ったら分からなくなっちゃうだろうなぁ。しかし、よく分からないなりに「苦手意識」はあまりないようだったので、その可能性に期待したい。短時間での高額バイトで、懐が温かくなった。ありがたい。

さて。今日は早めにPCを落として、図書館から届いた本を読もう。『カルプス・アルピス』『博士の愛した数式』『天涯の船』と読みたかった新作が3連発で手に入ったので楽しみでならない……ってことで今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
2001年10月18日(木) 見合いに挑んだ29歳の秋。

白蓮 |MAILHP