I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
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2023年10月20日(金) ■ |
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『ウンナム』 |
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『ウンナム』@韓国文化院ハンマダンホール
原題『웅남이(ウンナム=発音はウンナミ)』、英題『Bear Man』。2023年、パク・ソングァン監督作品。『コリアン・シネマ・ウィーク2023』の1本。上映前にソングァン監督のメッセージ動画が流れました。
ソンウンさんがクマの役です。いやマジで。「ニンニクとヨモギを100日間食べると熊が人間になる」という檀君(タングン)神話から発想された物語だとか。
・檀君(タングン)神話┃Life in Korea
仲良く森を駆け巡っていた双子のクマは人間になり離れ離れ。ウンナムは子どもがほしい夫婦に保護され愛情たっぷり(主に母ちゃんから)に育てられ、ウンブクはヤクザに拾われ虐待を受けて育つ。人間離れした(まあクマだったからな)耳と鼻、そして身体能力。川に潜り魚を捕り、畑を荒らしたイノシシと会話で交渉し、スズメバチの巣も簡単に駆除。冬眠しがちなのが玉に瑕なウンナム。ちょうかわいい。木を削っただけの短剣でバッタバッタとひとを刺し、スーツ姿で暴れまわるウンブク。ちょうかっこいい。片やかわいくてぼんやり、片やコワモテで残虐。それでもふたり(二匹)は兄弟で……。
村のひとたちは彼をクマだと知っているのか知らないのかフツーに接してるし、ウンナムの両親も「クマだから…」と思っているもののフツーに育てているのがファンタジーで良い。愛情を知らずに育ったウンブクは、そんな彼らをちょっと羨ましそうに見てる。遂に対決することになったふたりが下した決断は……やだせつない! そこで終わらないのがこの作品のいいところで、なんだかんだで大団円。同じ見かけなのをいいことに、あちこちに引っ掛け問題みたいな演出が入ってそれはちょっとしつこかったかな(笑)。観る方も「えっ、入れ替わっちゃった?」とかハラハラしどおしで落ちつかなかったわ……。ふたりが水中で見つめあうシーンもやたら長いんだけど、その表情がやたらよくて眼福でした。恐怖と困惑と慈愛、全部入った表情だった。いやー終始ニコニコで観た。
『僕の中のあいつ』でも一人二役を演じたソンウンさん。『僕の〜』はおれがあいつであいつがおれでのアレで、いじめられっこの高校生とコワモテ財閥社長の心が入れ替わっちゃうというお話でした。冒頭にも書いたけど、かわいいと格好いい、コメディもシリアスどっちもイケて、しかもその落差が魅力になるというのをご本人がよくわかってる。どんな表情をすればかわいく見えるか、どんな動作をすればキマるか熟知している。かわいいに関してはそのあざとさすらかわいいと思えるからな! 才能ですね! あと間が巧いというか、あざとかわいいのにボケが天然に見える。「クク…ククク……」「……81?」のとことか、客席がドッと湧きましたよ、笑いで。てか韓国にも九九があるのね。で、9の発音も「ク」で日本と一緒なのね。知らなかった。
・韓国語の九九 구구단/九九段┃韓国語 英語トリリンガル♪楽習ブログ
今年のソンウンさんは若者との仕事に意欲的なようです。『配信犯罪』に続き(こっちが後かな?)、パク監督も今作が商業長編デビュー作。後述リンクによると、監督はソンウンさんを想定して脚本を書き、ふたりでアイディアを出し合い乍ら撮影を進めていったそう。タイトルの「ウンナム」は主人公の名前で、「ソンウン」から「ウン」をもらったそうですよ。そうそう、双子は25歳という設定でした(!?)。実年齢の半分……いやーかわいいからいい! クマ時のウンナムとウンブクが戯れるオープニングアニメも、クマとイノシシのCGもとてもかわいらしく、最後には家族愛にほろり。血が繋がってなくても、クマでも(!?)、家族になれるんだー! と思えちゃうハートウォーミングな作品でした。相次ぐ熊害で困っている今の日本、ウンナムがいれば交渉出来るのになあなんて夢想してしまうくらいにいい話。
あ、あとネタバレ。最後の最後にカメオ(特別出演)でチョン・ウソンが出てきて場内がどよめいたよ! 知らなかったひと多かったみたい。私も知らなかったよ……ビックリして「ええ!?」とか声出しちゃった。カメオ出演ってどこ迄アナウンスしたらいいか難しいよね……あんまり内緒にしすぎるとファンが見逃しそうだし。出ますよと発表だけはしといてどの場面、どの役かは秘密、というのが自分としては理想だけど、絶対知りたくないひともいるだろうしなあ。ちなみにイノシシ役でした(微笑)。
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・地下駐車場でウンブクが襲われるシーン、『新しき世界』みがありました。意識しての演出かな?
・ビニールハウスカジノが結構衝撃だった。あっちではあることなのか!?
・某ダルス氏がメインキャストでガッツリ出ているので、手放しでおすすめ出来ないのが痛い。かわいく楽しい作品だけに勿体ない気も。妻を始め女性にやり込められるシーンが多かったのは配慮だったんだろうかとちょっと思ってしまった
・お笑い芸人パク・ソングァンが長編映画を初演出…パク・ソンウン主演作「ウンナム」のコミカルアクションに期待┃Kstyle もしこの映画(興行)がだめになったら、演出をしたがる後輩たちの道を僕が阻んでしまうのではないかと思いました 僕に対して、偏見を持って見られたらどうしようという気持ちが大きいです。お笑い芸人兼映画監督として、多くの負担がありますが偏見を破りたいです 本国での制作報告会。ソングァン監督は芸人さんなのですね
・映画『ウンナム』で1人2役に挑戦のパク・ソンウン、「パク・ソングァン監督の覇気で出演を決めた」┃KBS World 偏見があっても僕たちは結果で勝負をすればいいのだから。観客たちに『お笑いタレント出身の映画監督なのに思ったより上手だね?』と言わせればいいだけだ。新人監督は、現場で俳優たちが遊べるように機会を与えてあげるのが重要だと思うが、そんな面でパク・ソングァンは賢い監督だった ソンウンさん理想の上司とかいわれそう。てかこの方、年長者としての立場をしっかり踏まえた発言に意識的ですよね。ウソンさんもそうだけど、才能と意欲のある若者に活躍の機会を与えようという意志がしっかりある
・「ウンナム」パク・ソンウン、一人二役で25歳を演じた感想を語る“決闘シーンには実兄が登場”┃Kstyle ウンナム、ウンブクの決闘シーンでは、パク・ソンウンの兄がウンブク役を務めたという。彼は「僕と同じフィジカルは、兄が唯一です」と説明した。 へー! 後ろ姿だけでしたが、確かに体格はほぼ同じ、というか区別つかなかった。ソンウンさんは188cm、お兄さんは192cm。お父さんは191cmだそうで、長身な一族ですね。ちなみにお兄さんはモデルさんで(今もそうなのかな?)、ソンウンさんが芸能界を目指すきっかけにもなったそうです。 ウソンさんの話もこちらに出てますね
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