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2023年08月01日(火)
『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その4

『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その4

デイヴと再びハグし、アラニスは帰っていった。続くは伸びやかな「Learn to Fly」、そしてラミの荘厳なオルガンに乗せ、「みんなの声が聴きたい、知っている曲があったら一緒に唄ってほしい」と、テンポを落とした「Times Like These」。デイヴは日本ではいつもゆっくり、聴き取りやすい英語で話してくれる。彼の言葉を聴き逃さないよう、クラウドも静まり返る。そして、デイヴと一緒に唄う。舞台袖のスクリーンにクラウドの様子が映し出され、思わず後方を振り返る。暗闇の筈のエリアに、無数の明かりが星のように浮かんでいる。スマホのLEDだ。わぁ…(ちいかわ)となる。新譜からの「Under You」は(このアルバム全曲がそうではあるものの)明確にテイラーのことを唄っている。

テイラーが亡くなったこと。お母さまが亡くなったこと。デイヴがそのことを大っぴらに語ることはない。ただ、本人が抱え込んだ悲しみを、バンドメイトとともに音楽で表現し、シェアしてくれる。だから彼らはオーディエンスの反応が直接得られるライヴを続けるし、今の彼らにはオーディエンスの声が必要なのだと思う。

「Breakout」の長いインタールードで「照明落として!」とデイヴが叫ぶ。「シーーーーー」と小声でいい、演奏もボリュームを落とす。地上の星が輝く。ジョシュの長いソロ。

@foofightersofficial #fujirock ♬ Breakout - Foo Fighters

ドラムセットの下にジョシュのお子さんたち(多分)が座ってて、スマホで撮影しているのが見えた。多分その動画。振り返って微笑みかけるネイトの表情がすごくいい。フーファイのステージは、ファミリーがステージ袖やアンプ裏とかにいるんだよね。年を経るごとにその数は増えていった。かつてはテイラーのこどもたちもここにいた。続いて「My Hero」。デイヴがクラウドを見渡し「Beautiful, 」といってくれた。

さて、メンバー紹介とともにカバー曲を披露するコントの時間。デイヴのシフティ紹介はなんか敬意があった。わかる。ネイトのBeastie Boys「Sabotage」、ベースマジカッケー! お茶らけてアーイキャントスタンイーッ、アーイノウユープランイーッとシャウトするデイヴ。ウケる。ラミは「そんなんじゃ足りねーぞ、For FUJIだぞ、やりなおしー!」とより長いソロをデイヴから要求される。オーディエンスもがんばれレミと盛り上げる。パットははい来ましたThe Ramonesの「Blitzkrieg Bop(電撃バップ)」、上下でジャカジャカ弾かず、全部ダウンストロークでジャジャジャジャジャ、とギターを掻き鳴らすところがパット〜! って感じ、パンクスタイル。ジョシュがドドタタドドタタと乗ってきて、デイヴもシフティも合わせてくる。あちこちから「Hey! Ho! Let's Go!」の声が上がってやんややんや。最後はジョシュ。このコーナーではジョシュが参加してきたバンドの曲をいろいろやっていて、その中にNINの「March Of The Pigs」もあったので期待していたのだが、この日はDEVOの「Whip It」だった。いやいや楽しかったよ、NINは今度聴かせてくれ(諦めてない)。

ここでデイヴが「新しいメンバーを発表するよ」「7人目のメンバーです」とかいう。何をいいだす……と血の気が引く。いやマジで指先冷たくなった。「Ladies And Gentlemen, Please Welcome…」と呼び込まれたのはWEEZERのパットだったーーーやめてそういう冗談いうのマジビビるから。パットってドラマーじゃないっけと思ったが、近年パットはギターを弾いてドラマーはサポート呼んでるんですって。知らなかった。パットがパットのギターを借りて、演奏するのは「Big Me」。うん、いい。かわいい。最後パットがパットに教えてあげるようなふりして二人羽織状態になって笑う。最後はギターの取り合いみたいになって終わる。

昨年のテイラートリビュートのとき、ウェンブリースタジアムの大観衆を前に絶句していたデイヴの肩にそっと寄り添ったパットの姿を思い出す。パットのこういうほのぼのしい優しさ、フーファイには絶対必要不可欠なものだ。

「Monkey Wrench」のとき、テイラーと日本で楽しい時間を過ごしたという話をするデイヴ。そうだ、テイラーが初めてフーファイのメンバーとして来日したのって、『The Colour And The Shape』が出たタイミングだった(1997年フジのセットリスト)。どんなドラマーなんだろう、とドキドキし乍ら登場を待ったっけ。2002年のシークレットライヴのときは、何故か開演前に全裸のテイラーがステージをうろついてたなー。新宿のリキッドでさ、東京Tシャツのデイヴが下手側のカウンターの上を走りまわってさ。まだ髪が短くて。いろんな思い出が甦る。

てかこの当時の日記(書いとくもんだ)読み返して、そうだったこのときってODやらかしたテイラーが復調した辺りだったと思い出し、なんともいえない気持ちになる。またやっちまったんだな。どうしてそうなんだよ。でも怒りはわかない。ODは大ドジの略と菊地成孔もいってた。不幸な事故だった。どうしても戻ることが出来なかったのだろう。ただ、やらかすことでどれだけのひとが悲しむか、少しでも思い出してくれれば……いや、それでも彼は戻れなかったんだ。このことはずっと折り合いなどつかない。

テイラーが好きな曲だから毎回やってる、と「Aurora」。

「もう1曲やるよ、あと2曲やるよ、いやあと100曲だわ、いやしないんじゃないかな、まちょと覚悟はしておけ(いってない)」とさだまさしみたいなことをいってからの「Best of You」。胸がいっぱいになっていたところマイネクストタトゥーイズFor FUJI!!! とかいう。泣き乍ら笑うわもう。デイヴはいつもこんなふうに、泣いているひとを笑わせてくれる。今度はもっと早く帰ってくる、ツアーで日本をあちこちまわりたいといっていた。これって、8月1日からの興行ビザ大幅緩和の報を受け、具体的に話を進めているのかも、と思う。こういうところ、バンドのフロントとしてしっかりしてる。てか日本ツアーやるならまず福岡に行ったげて! あのキャンセル以来行ってないよね?

「Everlong」が始まる。アンコールをしないことはわかっている。バンドの全員が肩を組み前に出てくる。礼をし、手を振り、For FUJI!!! For FUJI!!! For FUJI!!! と連呼してデイヴは帰っていった。単独なら3時間近くやるところだが、今回は90分。2時間もないのかよ短いよと思っていた通り、あっという間に終わってしまった。しかし90分(といいつつ100分以上やってたが。てか3分早く始めたのウケる・いやうれしい)で流れをちゃんと作り、ゲストも呼びと、これ以上ない「For FUJI!!!」な内容だった。

シフティ、デイヴ、ネイト、パットの4人は今、ほぼ一直線に並んて演奏している。デイヴから一歩下がるという立ち位置ではない。皆がいるからバンドは前に進んでいける。また会えるのを待っている。

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Setlist(setlist.fm

01. All My Life
02. The Pretender
03. No Son of Mine (Metallica / Enter Sandman, Black Sabbath / Paranoid)
04. Rescued
05. Walk
06. Mandinka (Sinéad O’Connor cover) (w/Alanis Morissette)
07. Learn to Fly
08. Times Like These
09. Under You
10. Breakout
11. My Hero
12. Big Me (w/Patrick Wilson)
13. Monkey Wrench
14. Aurora
15. Best of You
16. Everlong
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帰り道でのみおさんの名言「デイヴすごく格好いいと思ってるんだけど、どうしても時々漫☆画太郎の絵で見える」。わかる、わかりすぎる。若い頃は髪も直毛気味でちょっと縦ロールみたいになる感じだったけど、今はかなりウェーブかかってるってこともあるかな。髪質が変わったのかな。パーマかけてるとは思えないのだが。

気になっていること。日本には来ていたヴァイオレットお嬢がステージには上がらなかったのは、セットリストが変更になったからなのかなあ。ホント「For FUJI!!」な特別セットリストだったものね。年齢的に深夜に仕事出来なかったのでは? という説も出てましたが。「ごめんよヴァイオレット、フジのステージには出られないんだ」「私だってプロよ、唄いに来たのよ! お父さんなんてだいっきらい!」「ヴァイオレットー!!!」てな会話が繰り広げられてたらどうしようとも思ったが、まあ妄想です。娘にデレデレなお父さんですが、作品やステージに関しての決断力は冷徹でもあるひとなので、厳しい判断を下したのかもね。

現地で見掛けず、あんなに頻繁にアップしていたinstaにもフジの様子は一切載せなかったので、「出られないなら行かない!」って東京にいるのでは……と心配してましたが、アラニスのときVIPエリアにいて、気づいたファンたちと気さくに交流していたと知りホッとしました。その後デイヴと一緒になかよく一蘭に行ってたことを知りニコニコした。

ちょっとシリアスな話をすると、「Show Me How」で娘に“I’ll take care of everything”と唄わせるか……デイヴどれだけ弱ってるんだ、いやそらそうだわな……と思ったりもした。今回のツアーを一緒にまわり、泊まるお部屋も一緒だそう。安定剤としてのヴァイオレットなのかも、と思う反面、それだけではないと思わせられる声を彼女は持っている。「ツアーでまたすぐ来る」とデイヴがいってくれたので、お嬢もまた来て今度は歌声を聴かせてね。

・俺らはただデイヴの苗場帰還を祝福する FOO FIGHTERS┃FUJIROCK EXPRESS '23


「This Is A Call」やる予定だったんだなー!


有難う有難う。


7人目のメンバーが写ってる! そんでシフティどこ! まさかフラッグ裏にいる脚がそうなの…? なんでそうなの……?(笑)


私も書いてきたんですよ。真ん中に「Buy Bitcoin」「Taylor Swift」って落書きしたやつ許さん。消して渡してほしかった……。

フジ終了後の翌週、デイヴはファンとのツーショットに応じていた(紙袋に注目。新宿タカシマヤだったらしいよ!)。最初は「ゆっくりしてって〜」とニコニコしていたが、段々「まだいて大丈夫? アメリカツアー始まるよ……?」と心配になる程だった。なんだかんだで週明け半ばくらい迄いたっぽい。ゆっくり出来たようでよかった。