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2019年12月19日(木)
『僕のフレンチ 〜ア・ラ・カルト公認レストラン〜』

『僕のフレンチ 〜ア・ラ・カルト公認レストラン〜』@eplus LIVINGROOM CAFE & DINING


はー年末進行のペースが読み切れなかった、芝居のチケット二公演分パーにした。無念……しかしこれには行けてよかったなあ。
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台本:高泉淳子
演出:吉澤耕一
音楽監督:中西俊博
出演:高泉淳子、釆澤靖起 / 中西俊博(Vn)、竹中俊二(G)、パトリック・ヌジェ(Acc, F.Hr, Vo)、ブレント・ナッシー(B)
ゲスト:TOBI(レ・ロマネスク)
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タイトル、正しい表記は「俺」に×がしてあって「僕」なのです。チケットサイト等では『俺× 僕のフレンチ』と表記されていますね。劇場がおさえられず……ということで、今年はスピンオフ企画。あのア・ラ・カルトの常連客、高橋がお店を開きました。秋田で修行(?)して、十日間の有休をとって臨んだそうですよ! 心配しかない(笑顔で)。

会場のeplus LIVINGROOM CAFE & DININGは道玄坂にあるお店。e+が利用者から集めている高額な手数料を元手にオープンしたといわれている(…)あのカフェです。初めて行った。成程カフェといってもライヴが出来る、プレイガイド出資に見合ったスペース。カジュアルなモーションブルー横浜に渋谷クアトロみたいな柱があるとこでした。ステージづくりは難しそうだがよい雰囲気です。食事もおいしい。ドリンクのグラスにKIRINのロゴが。ということは……と思っていたら、ハイ出ました「メルシャン」! そう、メルシャンは2010年にKIRINの子会社になっているのです。ここにも歴史あり。このカフェ普段もKIRIN扱ってるのかな? ア・ラ・カルトとメルシャンの長年のパートナーシップを守ってくれたのはとてもうれしかったです。

開幕しばらくは高橋がひとりでドタバタ奮闘のテイ。オープンの経緯をワタワタとあの口調で説明してくれます。釆澤さんは客に紛れてカウンター席にひっそり座っている。そこを高橋に発見され助けてよ〜と捕まって、そこから着替えてお手伝い。セクションごとにマイクやテーブルをセッティング、勿論ギャルソンの仕事もこなします。後述の記事にもありますが、好評につきステージが見えない席も発売したようで、そのエリアに配慮した演出やアドリブも。「中山くん」の名前もしっかり出て、『ア・ラ・カルト』の面々もしっかり存在しています。

本日のゲストはレ・ロマネスクTOBIさん。初めて拝見したけどすげー面白かった、この匂いは……という予感はあったがやはりその辺りの住人でした。シャンソンはフランス語でただ「歌」という意味なんだけど、日本人には「シャンソン」というとイメージするジャンルみたいなものがある。それを全部入れてみましたというナンバー「老女優の回転木馬」のエクセレント。ツボに入ってしまい笑いがとまらず吐きそうになった。せっかく食べたごちそうを戻しそうになる程だったよ! その前に唄った「祝っていた」ってナンバーも最高でした。呪を祝と書いていた、呪っていた筈なのに祝っていた。ユーモアとペーソスと毒、これも日本人がイメージするシャンソンかもしれないけどこういうのダイスキ。カラックスの映画を観ていたおかげで「メルド!」のシャウトにも大笑い出来ました。

芝居パートでは『ア・ラ・カルト』日替わりゲストが必ず洗礼を受けるアレ(台詞と段取りが書いてあるメニューを渡されて、ほぼぶっつけ本番で臨む)にオロオロ……のふりしてしっかりお父さんぶりを発揮。高橋だったり小学生の娘だったり高泉さん本人だったりと、キャラクターがコロコロと入れ替わる高泉さんを相手に「今どっち?(設定なの本人なの)どっちのテイで喋ればいいの?」とボヤキツッコミしつつ、最後は大きなハグ。これ、高泉さんもキャッとなってましたね。やはりフランスは愛の国よのう。

関東大震災から戦後における「しぶや百軒店」の歴史を見て来たかのように語る宇野千代子さんというキャラクターは、マダムジュジュからのバトンタッチだろうか。落語のような語り口で渋谷の風景を語り、青山円形劇場の思い出を振り返る。それが『「きのう何食べた?」正月スペシャル2020』の番宣に繋がる。長い長いひとりがたりは圧巻でした。

ボソッと書くと、前述の「日本人のイメージするシャンソン」の面白さを体現していたペギーさんをもう観られないのは残念ではある。仕方のないことだけどやっぱりさびしいな。それをいったらあの柳腰のギャルソンも……だけど、それでもやっぱりこの作品は高泉さんのものなのだ。メトロファルスに「さまよえる楽隊」という曲がありますが、ア・ラ・カルトはさながら「さまよえるレストラン」。高泉さんのライフワークともいえる、だいじなだいじな作品。青山円形劇場の存続も、今のところまだ望みがある。また会えますように。出来れば、ア・ラ・カルトのホームともいえる青山、渋谷で。青山は港区だけどね(笑)。

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高橋からのごあいさつ。この宣美がまたよかったんだよねー! 「秋田のお店に修行に行って、マタギという仕事を選び秋田の山奥に住んでいる写真家の方に撮っていただきました」といっていたけどどこからどこ迄がホントの話かわからん。全部ホントかもしれないが。そういう虚実曖昧になっていくとこもいいな。高橋や宇野千代子は、もう高泉さんの身体の一部なのだ

・高泉淳子が手がける「ア・ラ・カルト」の番外編! クリスマスのディナーは予約必至「俺× 僕のフレンチ」で……┃SPICE
インタヴュー。音楽と芝居、というとミュージカル? となるけどそうじゃないものをやりたかったって話。確かにこういうの、説明が難しい。ないなら自分でつくる、を貫くことはたいへんなこと。でもそうやってア・ラ・カルトは続いてきた

・「ア・ラ・カルト」スピンオフ企画開幕、高泉淳子が「お待ちしてます!」┃ステージナタリー
主に(というか殆ど)モニターで観るD席は当日券。「昨日座ってみましたが、モニターが大きく、ステージもちらりと見える。すぐそばでのお芝居も。3000円でお得だと思いました」って、高泉さんじゃなくて高橋がいってるみたい(笑)。アドリブで「ぜんっぜん見えませんね!」といってたし、D席でしか観られない場をつくる気配りもありましたよ。音楽家たちもソロを弾くときそのエリアに入っていったりしてました


かわいい高橋。30年以上やってるとこうやって動画コメントも張ることが出来るようになる。うーん感慨深い