初披露の曲も多く、いつにも増して緊張度が高い。二曲目の「spectres de mouse」 では清田さんが些細なミスタッチをきっかけにリズムから弾きとばされてしまった。なんとかもちなおすも中盤の「最後の晩餐」で同様のズレが生じ、清田さんがしばらくおいてけぼり状態になるというかなり危うい演奏になった。清田さんは(ちょ、待って)(どうしよう)といった表情であとのふたりを見やるが、川さんは鬼の形相、新留さんは目を閉じて演奏に没入しているので気が付いていない。気付いていたとしても走り出した曲をとめることはしない(笑)。……まあ、ほらこのひとら出身がハードコアだから。徹底した個人主義に拠るパンクですからして、各々が自力でなんとかするしかありませんね。いつもなら心地よくすらあるmotkのテンションに、こんなにヒヤヒヤしたことはなかったわ……。
rokapenis+Hello1103によるVJも冴えてました。バックドロップだけでなくフロア壁面も使っていたのが格好よかった。楽曲にリリックがある、それはメッセージになる。オープニングでは「Shapeless Man」の“days of disappearance”、「Stars Down」のときには“Where the hell were you?”。言葉がスクリーンに現れる。おまえは何を考えてこの曲を聴いている? と問われたようでドキリとする。二列目にいたため映像の全景は観られなかったのですが、UNITの空間が美術作品になっていたのではと思います。こういうのはひきで観たいよね。motkのライヴは視点がふたつほしくなる(笑)。
川さんと新留さん、ふたりの作曲家の色がハッキリ出てきたことで楽曲の幅が拡がった。清田さんはそれを体現する演奏家。といいつつも、前回同様アルバムに一曲だけ提供される清田さんの楽曲はとても印象に残る。ふたりからスタートし、映像のチームも含めてmotkだといっていた時期もあった。「(川崎、清田、新留)この3人でmouse on the keysです」と名乗ったのは2009年のO-EAST。そこからここ迄きたのだなあと勝手にジーンとしてしまった。なんかmotkのライヴは毎回感慨深くなっている。父兄か。
・mouse on the keys『tres』で見せた成熟の新たな美学│OTOTOY 「Clarity」のクワイアは、motkが新しいフェイズに入った!(そういえば今回のアルバムには「Phases」という曲が入っているではないか)という衝撃を与えるに充分なものだった。この声の主の正体、そして彼らがmotkとコラボするに至った経緯が知りたかった。彼ら以外のゲストについても、この記事で詳細を知ることが出来た。リリックとメロディは歌い手におまかせだったというのも驚き。 ギターもヴォーカルも「反則技」。本人たちもこれ迄のmotkとは違う楽曲の仕上がりに「吹いた」「爆笑した」そうだが、ここで笑えるところがたのもしい(笑)。「変プラス変がポップになる」、それを恐れず楽しめる。 webというツールをフルに使い、音楽制作における物理的距離と時間を短縮する。同時に過酷な移動距離とスケジュールの海外ツアーを積極的に行う。webでは見つけられないシーンの動きは現地で直接体感する。ものごとを実現するためフットワークの軽さと思いきり、これからの動きも楽しみです