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2018年03月17日(土) ■ |
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BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』リリース記念トークイヴェント |
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BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』リリース記念トークイヴェント@代官山蔦屋書店
聞き手はMUSICA編集長の有泉智子さん。学生時代からブンブンの熱心なリスナーであり、長い間彼らの記事を書いてきた方です。川島さんに最後に会ったジャーナリストではないだろうか。オフィシャルプロダクトに掲載するインタヴューやライナーを任されていることからも、バンドとの信頼関係が窺えます。作品に関してのシリアスなインタヴューは既にいろいろなところに出ているので(後述リンク参照)ここでは楽しかった思い出話をしましょう、とのことで笑いの絶えないトークイヴェントになりました。
以下おぼえがき。記憶で起こしているのでそのままではありません。話の順序もバラバラです。なるべく中野さんの喋りのニュアンスに近づけるべく書いていますが(あのおだや〜かな口調を想像し乍ら読んでほしい・笑)明らかな解釈違い等ありましたらメールフォームやtwitterでご指摘ください。
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・この『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』がBOOM BOOM SATELLITESの最後のライヴとなったわけですが、では、ブンブンがいちばん最初にやったライヴのことって憶えてますか?
「いきなり、そんな、変化球?(場内爆笑)……憶えてますよ! 新宿のACB HALLでした。今は改装されて綺麗になってますが、当時は場末のキャバレーみたいな感じのハコで。その頃バンドは四人編成で、Vo川島くん、Gがふたり…川島くんともうひとりいて、あとDJがいて、僕がBで。若かったし、やんちゃだったし、こどもみたいな川島くんがいたと思います」
「歳をとるとともにだいぶ安定していったけど、川島くんは自信家で、気分屋で。『今日のライヴあんまりよくなかったね』なんていうとすっごいおちこむ。あの頃はSNSもないし、ネットはあっても今みたいに便利ではないし、家の電話に公衆電話からメッセージを残しておいたりして会う予定を決めるんだけど、じゃあ◯日の◯時に行くから曲をつくろうって約束して、その日に向けてすっごい準備して、川島くんのうちに行ったら川島くんが遊びに出かけるところだった(笑)。◯時間後に帰ってくるから僕は部屋で作業しとくよとか……」
・鹿野(淳)さんも話してましたけど、フジでライヴのあと挨拶に行こうとしたらとめられて…おおきな音がして……なんか飛んでるー、とか……
「またその話い?(場内爆笑)友だちってことから始まった関係だし、やっぱりずっと友だちなんですよ。ライヴやレコーディングのことでぶつかることがあっても、スイッチが切り換えられる。どんなにケンカしても、ごはん食べたりするときには友だちに戻ってる」
・あれだけ激しくぶつかっても、切り換えられるってところがすごいと思います。スタジオを見学させて頂いたことがありますが、ふたりっきりで長い時間作業しますよね。そんなときに川島さんが… twitterにもちょっと画像を載せてらっしゃいましたが川島さんが全身タイツを……(場内思い出し笑いとどよめきが起こる)
「裏PVね(笑)」
・(笑)そう、「Kick It Out」には裏PVがあるんですよね?
「バンドによっては、自分のパートを録り終わったらもうスタジオにこないひともいるそうですが、僕らの場合はそうじゃなくて。川島くんは自分のギターや歌のレコーディングが終わっても、スタジオに毎日くるんです。朝、僕が作業を始める前にコーヒー淹れてくれたり、先にきてスタジオを掃除しといてくれたりするんだけど、作業が進むにつれふたりとも煮詰まっていくんですね。そしたらある日、僕がスタジオに行ったら、川島くんがオレンジの全身タイツ着てて……(あちこちからじわじわと笑いが)『…どうしたの?』って訊いたら、『テンションあげていこう』って(場内爆笑)。タイツのことを『これはエフェクターだ』って(笑)」
・その格好で踊る川島さんを撮ったのが「Kick It Out」裏PVですね。私も見せて頂いたんですが、マキシマムザホルモンのメンバーも見て爆笑してました。あれは白の全身タイツだったと思うんですけど、
「あれね一度撮ったらあんまりイケてなくて、着替えてもう一度最初っから踊ってもらって撮りなおしたの(笑)。だから白とオレンジのと二種類ある。川島くん、いろんな色の全身タイツを買ってきてて、一緒に透明なプラスチックのケースも買って、それにタイツを詰めて、ケースに『エフェクター』って書いて(爆笑)」
・ドン・キホーテで買ったそうですけど、どんな気持ちで選んでいたんでしょうね……(有泉さんがしみじみしたような口調でいうので尚更笑えた)
「あと、『Intergaractic』って曲、あれギターを弾き乍ら唄うのが難しい曲で。なのでライヴのリハで、川島くんはひとり早くきて練習してたんですけど、ある日(リハに)僕が行ったら川島くんが銀色の全身タイツを着てて……『…なんで銀色?』って訊いたら、『いんたーぎゃらくてぃっくだから(途中から笑ってしまって震え声に)』って……(爆笑)。そのあと平井さんが白のタイツ着て、僕が黒着てリハをして(笑)。でも僕が全身タイツ着てもあんまり面白くなくて。ただの、筋肉を鍛えあげたスピードスケートの選手みたいで、面白くならなかった(すごく残念そうだった)」
・そうやって川島さんはいろいろ面白いことをいっていますが、中野さんは何かいったりすることはなかったんですか?
「僕が何かいう場合は、『ちゃんとやろうよ』とか(笑)」
「そんな感じで川島くんはときどき素っ頓狂なことをするんですよね。忘れものとかもしょっちゅうだったし、おっちょこちょいで。NYに行ったとき、リュックから水が出てて。水の入ったペットボトルをリュックに入れてて、飛行機に乗ったりしてる間にキャップがゆるんじゃったんでしょうね。スタッフがあわてて『川島さん、水出てます!』って声をかけたんだけど、状況がわからない川島くんが『え? え?』って振り向いたりするとますます水が撒き散らされて(笑)NYの街のど真ん中で。『川島さん、水出てます!』っていわれてもそれだけじゃ意味わからないじゃないですか。それがもうおかしくて、しばらく『川島さん、水出てます!』がキラーワードになってた(笑)」
「あとロンドンに行ったとき帰りの飛行機のチケットを失くして。帰るよってときにヒースロー空港で気がついて、どうしようってなって、僕やスタッフが『川島くん!』とか『川島さん!』とか日本語でいってたのを聞いてた空港の職員さんが、『Ka wa shi ma……?』『あーっ!』って。実は川島くん行きの時点で帰りのチケット失くしてて(空港だか行きの機内だかに落としていたらしい・爆笑)空港で保管してくれてたらしくて。行きの時点で失くしてるのに気づいたの帰る当日。で、帰れましたけど」
「とまあ、こんなふうに川島くんのことを面白おかしく話してますけど僕も相当で……昨日ツイートしたんだけど、学生時代にバイトしてたジャズバーに番組の企画で行ったんですけど」 「久しぶりだから手土産を、と思ってたんだけど当日寝坊して。タクシー乗ってお菓子屋さんに行って、焼き菓子を買って、そこから電車に乗って。遅刻するわけにはいかないからお菓子屋さんにはタクシーで行って、時間短縮出来たなと思って。ふと気がついたらお菓子が、ない」
・タクシーに忘れた?
「いや…お菓子屋さんに……(場内爆笑)電話したらこちらが名乗る前からあわあわしてて。お菓子忘れたひとだってすぐわかったんでしょうね。『お店から送ってもらえますか……』って住所伝えて。ジャズバーの店長に『明日お菓子が届きます』っていったら『ぽい、ぽい!』っていわれた」
・それで思い出しましたけど、以前MUSICAで中野さんとカール・ハイドの対談を企画したときに中野さんが寝坊して、コントレックスだけ持って現れたことがありましたね
「ああ、あの頃はコントレックスがブームだったんですよ」
・いや、(そういうことじゃなくて)コントレックスだけを持ってきたってのが。他に何も持たず。前日呑んでたとかだったんでしょうけど、コントレックスだけを持った中野さんが公園通りを疾走していたっていうのが面白かったなーって
「遅刻しちゃいけないと思って……。僕も川島くんも、音楽以外のこととなると本当に抜けてるんです。作品をつくるにしても、遅いんですよね」
・それは、ミックスからマスタリング迄ふたりで話し合い乍ら、納得する迄詰めていくからでしょう。遅いということはないと思いますよ
「他にやり方をしらないから。有難いことにいろいろなところからお声がけ頂いて、プロデュースとか裏方的な仕事をやっているんですけど。バンドでやってきたことが通用するのかということも含め、これからどうやって音楽に関わっていくかを考え乍らやっています。だからきた話は時間が許す限り断らないで受けていこうと思ってて。音楽に限らずだけど、家族よりも長く一緒にいて、沢山の時間を過ごした友だちを失ったことで、これからの人生の時間をどう過ごしていけばいいのか、模索中なところもあります」
「表に出る機会がないので『何やってんのかなー』と思われてると思うんですけど、仕事してるんですよ。まだいえない仕事を。解禁日とかね、あるんです。一年後に公開のアニメの音楽とか、そういうの。なので日々フル稼働してます」
・ソロの作品も、皆さん待っていると思います
「そうですね。長い間、BOOM BOOM SATELLITESの音楽を聴き続けてくれているひとたちもいると思います。そんなひとたちや、同年代のひとに向けて、残るような作品をつくりたいですね。聴いたひとの、人生に寄り添えるような音楽を。バンドが終わったことで、僕はライヴという、ファンのひとたちと交流する場を奪われてしまったわけで……ひとまえに出る機会もあまりないし。だから今日はファンと会える貴重な機会。次はいつになるかわからないけど……そうそう、川島くん、あのひとすごくモテたんですよ。格好よかったし、ただ立ってるだけでも色気があるんですよね(頷いてるひと多数)。街を歩いてても目立つし、とにかく声をかけられる。BOOM BOOM SATELLITESの川島さんですよねって。本人はあんまりそういうことに興味がなくて、普通にサインして握手して……僕は全然、声とかかけられない」
・怖いイメージがあるんじゃないでしょうかね……
「こわい? そうなのかな、こわくはないんですけど……でも、僕を街とかで見かけても、放っておいてください(笑)」
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思い出を面白おかしく、でもひとつひとつ噛みしめるように話していた。笑い乍ら話を聞いていると、一瞬川島さんがもういないことを忘れる。そしてすぐにいや、もういないんだと現実に引き戻される。中野さんは何度も僕らは、とか川島くんと僕は、とかふたりとも、といういい方を繰り返した。あらゆる場で口にしているが、ライヴの場を失ったことで、リスナー、ファンとの交流をも断たれてしまったことをとても残念に思っているようだった。それは勿論、中野さん本人がライヴを出来ないことを悔しく思っている、ということでもあるだろうが、言葉の端々に、BOOM BOOM SATELLITESの未来を見失って途方に暮れているファンへの気遣いが感じられた。
このバンドは青春だった、といっていた。その時間は二度と戻らない。しかし、戻らない時間だからこそ、今後手を加えられることもない。思い出せばいつでも瑞々しく、輝いていたあの音が、光景が甦る筈だ。川島さんと過ごした青春の思い出をシェアしてくれた中野さんに、話を引き出してくれた有泉さんに感謝します。そして、中野さんのこれからの作品を楽しみにしている。待っている。人生のサウンドトラックになる音楽を。BOOM BOOM SATELLITESの音楽がそうであったように。
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・『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』インタビュー 中野雅之が振り返る、BOOM BOOM SATELLITESが歩んだ軌跡とラストライブの裏側│Real Sound
・BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』インタビュー│Billboard JAPAN
・BOOM BOOM SATELLITESが最後に伝える、音楽と人生の魅力│CINRA.NET
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(20180403追記:この日の記事が出ました。ウチんとことの誤差はご愛嬌でひとつ宜しく) ・BOOM BOOM SATELLITES 中野雅之が語る「川島道行と過ごした時間、そしてこれからのこと」│RollingStone
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