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2018年03月07日(水)
『年イチの「金・銀・パール」2018〜パールとビブラトーンズ〜』

『年イチの「金・銀・パール」2018〜パールとビブラトーンズ〜』@Shibuya CLUB QUATTRO



知ってるひとは知っている。私のメールアカウント、いや遡れば同人誌をつくっていたときのサークル名の由来です。ライヴでやるのちょ〜レアよ! てか『Toyvox』ツアー以外でやったっけかというくらいよ! ちょっとお〜ただでさえ自分にとって特別なバンドなのに今こんなん聴かされたら人生ふりかえりもするわよ。しかも今回のライヴはいろいろ思いを馳せる要素がありすぎた。まあそういうのは年々増える一方で、だからこそ可能な限り足を運びたいのだ。とはいっても、いちばんの目的は彼らのピカイチの演奏を聴くことですけどね。

というわけでどうやら年イチでやってくれるようです、パール兄弟のお祭り。新譜『馬のように』(アートワークはしりあがり寿)からのトガったナンバーも披露、往年の名曲は演奏にますます磨きがかかり(いやもうすごすぎて笑う)、サエキけんぞうの未来つまり現在をズバリと読んだ嗅覚鋭い歌詞に唸り、そしてこのバンドには欠かせぬ品ある下ネタにゲラゲラ笑うハッピーなライヴでした。ゲストは近田春夫&ほぼビブラトーンズ! 当初予定されていたゲスト、エンちゃん(福岡ユタカ)は結局欠席。あのオタケビが聴けなかったのはで残念だけど、「AOR大歓迎」のコーラスは東京タワーズ(! 加藤賢崇、岸野雄一、中嶋勇二)が務めてくれました。周知のとおり、ビブラトーンズを脱退というかクビになった窪田晴男と、ハルメンズが崩壊状態だった佐伯健三が結成したのがパール兄弟。リアルタイムで聴いた近田作品もビブラストーンからで、当然ビブラ(トーンズ)は後追いです。『Midnight Pianist』のナンバーが今ライヴで聴けるとは。窪田晴男と岡田陽助が並んでギターを弾く図が観られるとは。ガン宣告からもはや数年、近田さんもお元気そうでなにより。

中西俊夫は昨年ガンで亡くなった。コピー、コピー、スベテハコピー♪ あのとしちゃんの素っ頓狂な声はもう聴けないんだなあ。川勝正幸は今年七回忌。この週はアカデミー賞の話題でtwitterがにぎわっており、オスカーを獲得したギレルモ・デル・トロ監督がらみで川勝仕事の『パンズ・ラビリンス』に関するツイートも流れてきた。まだあまり日本で知られていない監督をどう紹介するか……作られたプレスやフライヤー、そしてパンフレットは川勝さんらしい視点とアイディアが駆使されたもの。先月亡くなったECDはリーマンズのメンバーでもあった。私が上京して二番目に知ったラッパーがECDだ。一番目はDr. Tommy。ビブラストーンのライヴで、近田さんに紹介されて出てきたのがECDだった。ゆかりのあるひとたちがどんどん去っていく。陽ちゃんがECD IN THE PLACE TO BEシャツを着てるなーと思ってたんだけど誰も話をふらない(笑)。中嶋さんがしていたネクタイは川勝さんのものだったらしい。盛り沢山の構成につき進行でいっぱいいっぱいのサエキさんに川勝さんとECDの話をふってくれた賢崇さんグッジョブ。

(20170310追記:後述リンク、サエキさんのFBに掲載されたセットリストによると「ここで賢崇さんが川勝さんとECDの話をする」って進行になってたみたいですね。しかしそういうことも進行に入れとくあたりがサエキさんらしいよ…各方面への気配りが過ぎて逆にやっつけ仕事みたいに見えちゃうっていうね……)

とまあしみじみしつつ、しかし演奏がはじまると笑ってばかりです。毎度のことだがアホかという程に巧い。ヴォーカル以外(笑・これいつもいってるが事実だからとしかいいようがない。サエキさんは言葉を紡ぐ才能と魅力的な声があるからいいのです)。ワンマンのときより曲数少なめとはいえ、テーマ(今回は「エロ」でした。サエキさん毎回趣向を凝らしてくれます)に沿ってレアな選曲。前述した「Flip Flop Lover」もだが「How to X」とか「真赤なリヴォルーション」とか、技術が問われるややっこしい楽曲をポップソングとしてスマートに聴かせることといったら。今回ポジションどりを誤ってバカボン鈴木と矢代恒彦が殆ど見えなかったんだが音は堪能した…何度鳥肌たてたことか。ヤッシーのアナログ魂(サエキさん曰く「全部アナログ機材だから運搬がたいへん」)にも感銘を受け、松永俊弥がだんだん高橋幸宏に似てきたなあなんて思う。音だけでなく容姿も。スネアにエフェクトかけててそれも格好よかったなー。

窪田さんはFu Manchu(否バンド)に似る説を継続しつつ(笑)、長時間のライヴに最後迄出来るか不安とかいいつつ、立奏でやりとおしましたよ。そして演奏は勿論キレッキレのキレッキレでしたよ。「色以下」久々に聴けてうれしかったなあ、あのイントロ! となりのおっちゃんと同時に「おおお!」と声をあげてしまったよ。「焼きソバ老人」や「◯。◯◯◯娘」のロックアレンジにもにっこり。いつまでも、いちばん好きなギター弾き。

「ヨーコ分解」はやらなかったのでバカボンのスティックは聴けませんでしたが、年イチでこういう催しがあるならまた聴けるチャンスもある、と思えて楽しみです。来年の開催、待ってますね。



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・ECD IN THE PLACE TO BEシャツといえば窪田さんも一時期よく着てたんだけど、このひとはホント着るものに頓着しないひとなので新しく服を買うとそればっか着るのをファンの方はご存知でしょう。なのであードネーションしたんだなというより新しい服を買ったんだなーと思いましたね……

・スティックといえば、これ弾くひとってトニー・レヴィンとバカボン鈴木くらいしかしらないんだけど、いずれスクエアプッシャーが弾きだしそうでこわい。6弦はやり尽くしたとかいって