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2017年09月30日(土)
大駱駝艦・天賦典式 創立45周年『擬人』

大駱駝艦・天賦典式 創立45周年『擬人』@世田谷パブリックシアター

大駱駝艦45周年おめでとうございます! 新作連続上演、まずは『擬人』。フィナーレ含め全9セクション、AIをおどる、死体をおどる、バグのふりした正常反応をおどる。どうプログラミングしなおしてもそうなっちゃうのねー。

エネルギッシュに展開する構成で、体感時間がとても短かった。ストーリーも明確で曲とのつながりも強く、8曲(フィナーレはカーテンコールとしての「おどり」なので)のダンスを、それぞれとりだしてひとつの作品として観ることも出来そう。オープニングの群舞が圧巻。並んでステージに座り、脚を投げ出した状態のダンサーたちは、同じ動作をしてもそれぞれが持つ身体により違うものになる。エイジアンの、日本人の身体。『イノセンス』の人形を思い出す。大駱駝館ではおなじみの、セクションのリーダー的な存在が区切りごとに「シュッ」と口を鳴らすキュー出しの呼吸により彼らはAIとしておどる。腕、手足の指、表情筋がぎこちなく、やがてなめらかに動きだす。つづいてスパニッシュギターをモチーフにした土井啓輔の音楽にのせ、人形とおどる男性ダンサーたちの「死体集め」も素晴らしかった。死体の人形たちがまるで生きているかのように動きだす。その操縦の妙にも感服。

集められた死体にプログラミングが施され、学習を経て社会に対応していく。しかし辿り着くのは「殺す」「殺す」。そこへ登場するのは棺桶(文字どおり桶、日本が土葬だった時代に使われていた座棺というやつだ)に両足つっこんだ状態の麿さんだ。死体がスタートかよ! 格好いいやろがー!

それにしても桶に入ったまま自力で移動している。しかし外からの力で桶が動くときには歩いている様子がない。どうなってるんだろうと思っていたら、桶の底は完全にくりぬかれているのではなく、足が乗せられる板がわずかばかり張ってあったのでした。麿さんは相当な時間そのなかにいたんですが、何気にこれすごくないか。御年74ですよ。足腰とかつらくないのか。とへんなところに感嘆してしまった。先日観た『薄い桃色のかたまり』でも思ったが、おどりというものは躍動だけではないのだなあ。ひとの心や自然の情景は、静止やゆらぎによって表現する方法もあるのだ。とどまる動作に、ゆったりとした動きにとてつもない力をつかう、蒼い炎のような表現。

「緊急出動」のクレジットで、美術にKUMAさんこと篠原勝之。ステージ中央にニューロンを思わせる枝ぶりの一本の木。死体たちが収まるケースはアクリルではなくガラス。重厚かつ華やかな存在感。おなじみ堂本教子の衣裳は、美しい装置にもなる素材とパターンででダンサーの身体に寄り添う。

KUMAさんは出演も(!)。登場したとき客席からふわっとした空気が生まれる。わ、出てきた! 白塗り! といったくすりとした笑いも。首輪と鎖で繋がれた麿さん、鎖の持ち手のKUMAさん。山高帽とモーニングという衣裳も相俟って(『を待ちながら』を観たばかりだったこともあるかな)、ゴドー待ちのラッキーとポッツォを連想しました。そういえば麿さんは鴻上尚史演出のゴドー待ちに出てましたね、こっちではポッツォだった。

とらえられた麿さんはどうなる?! ステージに「つづく to be continued」との映像、『超人』は来週上演。こちらはついにAGIが登場するそうです、楽しみ。

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・生身で繰り広げるAIの世界、大駱駝艦45周年記念公演の“前半”「擬人」が開幕 - ステージナタリー

・大駱駝艦は艦員ののぼりがそれぞれあってロビーに飾られるんだけど、ジェフ・ミルズのもありました。近年はもう殆どレギュラーだもんね

・以前花粉の季節に大駱駝艦観たとき白塗りの粉が舞って(この様子がまた美しいのだが)くしゃみが出たことあって、今回も前の席だったのでヒヤヒヤしてたが大丈夫だった。よかった…呼吸器が弱ってるんで不安だった……

・前々作くらいからすごいルックスが好みの女性ダンサーが入ったんだけど名前がわからないわ〜キャメルアーツ所属でもないみたい