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2017年03月15日(水)
『お嬢さん』

『お嬢さん』@TOHOシネマズ新宿 スクリーン1

うわーんすごくよかった! なんだか胸がいっぱいよー! 2016年、パク・チャヌク監督作品。原題『아가씨(お嬢さん)』、英題『The Handmaiden』。

原作はサラ・ウォーターズ『荊の城』。19世紀、ヴィクトリア朝のロンドンから1939年、日本統治下の朝鮮半島に舞台を移し、チャヌクがチャヌクでチャヌクってるも〜チャヌクとしかいいようのない、美しく、豪奢で、倒錯的な世界がユーモアに包まれ描かれます。莫大な財産を相続した“お嬢さん”秀子、彼女の下女として屋敷に入った珠子(スッキ)。支配的な叔父、財産を狙う詐欺師に人生を脅かされるなか、彼女たちは惹かれあっていく。

第一部はスッキ、第二部は秀子の視点で描かれ、第三部でふたりの行く末が描かれます。145分という上映時間ですが、長さは感じなかった。『哭声 コクソン』もそうでしたが、これは事前に「長いぞ!」という声をあちこちから聞いていて身構えて行ったらそうでもなかった、という感じかな。原作は読んでいなかったので、素直にストーリーを追い乍ら観て、一部はその顛末にええっ?! 二部はそうだったのか! となり、三部の頃にはそれからそれから? とすっかり夢中。秀子、スッキ、がんばって! と応援する感情すら湧いていました。

スッキが抱きしめる無垢な赤子たち、愛するものの“いい匂い”を嗅ぐ恍惚。スッキの母親が死ぬまえに語った言葉、スッキが秀子にかけた同じ言葉。生まれてこなければよかったなんてことは、決してない。わたしたちは生まれてきてよかったのだ。今いる世界を壊すのだ、幸せになるのだ。ふたりが書斎を荒らすとき、ふたりが草原を走るとき。孤児のスッキと孤独な秀子が出会ったことを、世界が祝福しているかのような結末に思わず涙。てか今また思い出して涙ぐんでる。

秀子役のキム・ミニ、スッキ役のキム・テリがとにかく素晴らしく、このふたりを輝かせるためだったのかと思う程、男優陣はある意味損な役まわり。それでも構わないといわんばかりに叔父役のチョ・ジヌン、詐欺師役のハ・ジョンウは献身的な哀愁を見せてくれました。広大な屋敷と豪華な調度品、細部に迄拘ったのであろう衣装とアクセサリー。そして、それらをすべてとりはらったふたりの女性の裸体の美しさ。チャヌクー! チャヌクー! 有難うー! と言いたくなる眼福でした。なんかもー目も心も悦びっぱなしの145分でした。

日本人、朝鮮人、日本人になりたかった朝鮮人。日本語の台詞がとても多い。かなりレッスンしたのだとは思うのですが、ちょっとたどたどしいのはご愛嬌かな。日本と韓国以外の言語圏ではこのあたりは気にならないでしょう。ちなみに秀子はワンシーンだけ東北弁のようななまった日本語をしゃべるのですが、そっちの方がまったく違和感なくてビックリした。作品中の日本語発音に慣れた頃だったので我に返った(笑)。標準語より全然うまく聴こえたよ…東北弁はフランス語に調子が似ているとよくいわれますが、韓国語とも相性がいいのかな。日本人が何人か出演しており、彼らが出てくると耳慣れた発音で話すのでまた我に返りました。結構わかるもんですね。

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・輝国山人の韓国映画 お嬢さん
『哭声』同様これもまた子役がすごくてですね、そしてその子役のクレジットがパンフレットになくてですね。チョ・ウニョン、今後が楽しみ〜

・映画『お嬢さん』パク・チャヌク監督にインタビュー:「抑圧されている状況の中で戦う女性こそが魅力的だと思っている」|ギズモード・ジャパン
やーもーチャヌくんだいすき

・総製作費12億円、蔵書室に日本庭園!パク・チャヌクが「お嬢さん」美術を語る - 映画ナタリー
スクリーンの大きな画面で観るのがまた眼福ですよ〜

・「#お嬢さんいろいろ」
twitterのハッシュタグ。撮影裏話やスタッフワークについて、本国の記事翻訳等も多くいろんなことを知ることが出来て楽しい! 有難い〜



「#お嬢さんいろいろ」からひとつ。これを読んで、『渇き』のキム・オクビンの青いワンピースが鮮烈に印象に残っていたことを思い出した。色彩がほんと素晴らしくてね……(また涙ぐむ)

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・韓国映画、しびれる激辛 今月公開の3作品:朝日新聞デジタル
『お嬢さん』『哭声 コクソン』『アシュラ』ね。いやー、怒涛の三作でした。なんでこんなに公開重なったんだ、嬉しい悲鳴です

(4月3日追記)
・陶酔させ、誰も不快にしない「正しさ」の洗練――映画『お嬢さん』 西森路代×ハン・トンヒョン - messy
・ダブルヒロインの華麗な弁証法‥‥韓国映画『お嬢さん』感想 - Ohnoblog 2
フェミニズム、政治的観点からの膝をうちまくる対談とレヴュー。日本統治下にあること、についてぼんやり考えていたところがクリアになりまくった。ネタバレしていますので、興味のある方は鑑賞後に是非