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2017年01月14日(土)
『보디가드(THE BODYGUARD)』

『보디가드(THE BODYGUARD)』@LGアートセンター

2017年の観劇始めも韓国ミュージカルです。要領を得ると気軽に行けるようになりますな……昨年末で会社を辞めたこともあって勢いで〜といいつつ、迷ってるときにインターパーク(韓国のチケットぴあみたいなの)を眺めていたら早割のよい席を見つけてしまい、これは! と11月にはチケット確保してたという。あのホイットニー・ヒューストンとケヴィン・コスナーの映画『ボディガード』の舞台版でストーリーは頭に入っていたこと、ミュージカルなので台詞はわからずとも歌を楽しめるだろうというのも大きかった。昨年行った『오케피(オケピ)』と同じ劇場なので、チケットカウンターや物販の様子も覚えてるし。

決め手はボディガードのフランク役を演じるのがパク・ソンウンさんだったことです。『新しき世界』の思春期くんですよ。『無頼漢』の犯人(…)、『華麗なるリベンジ』の憎めない検事さんですよ。本人はコメディをやりたいのに悪役のオファーばっかりくると嘆いているひとです(…)。アクションの心得がありガタイもよいので、今回の役はピッタリじゃーん。悪役じゃないよ!『無頼漢』での穏やかな雰囲気とキメキメの格闘シーンが素晴らしかったのでこれは楽しみではないか。ちなみにミュージカルは初めてとのこと。

歌姫レイチェル役はトリプル、フランク役はダブルキャストで、観劇日のキャストはこちら。



(クリックすると拡大します)


ロビーはこんな。





韓国のひとたちは記念撮影が大好きなようで、こういう撮影ブースが沢山あるんですね。ソンウンさんのパネルに頬を寄せたりチューするポーズで写真撮ってるひと多数。そのポーズがまたみなさん堂に入ってる。わたくしはひとがハケてるときにそっとブースだけを撮りました……。さて予約していたチケットを引き取って開場を待ちますよ。ちなみにロビーのカフェはチケットを提示すると500ウォン値引きしてくれます。カフェシェケラートおいしかった。外は寒いが館内はとてもあったかくボーとしちゃうんで、アイスでキリっと気をひきしめる。



入場してみれば最前列ほぼセンターであった。なんでや、チケットとったときの見取図では三列目だったのに…ジョンミンさんもジョンソクくんもこんな近くで観たことないのに……もう今年の運は使い果たした。ぼんやりしているうちに開幕、いきなりド派手なショウのシーンから。ちょ、火柱! ヒィ、熱い! 間にオーケストラピットの奈落があるとはいえ、その間5メートルくらいではないか。パンフレットによると初演は2012年ロンドン(シアターガイドでも報じられてました)で、アジア初のライセンス契約が今回の韓国公演だそうです。演出やヴィジュアルは初演を踏襲している模様。ちなみに2015年UK版はこんな感じ。この火柱ですわ。ラムシュタインかいな……。

ガッツリ唄うのはレイチェルとレイチェルの姉であるニッキーのみ。それもショウ、レコーディング、レッスンと唄う必然性のあるシーンが殆どなので、台詞で進行する芝居パートとの切り替えに違和感がありません。積極的にミュージカルを観ることがない私のような観客には、台詞が全部歌になっているミュージカルよりムズムズせず楽しめました。グランドミュージカルのファンには物足りないかもしれないですね。あの名曲の数々を堪能する、という趣が強いものでした。その点は大満足! レイチェル役とニッキー役の歌唱力、素晴らしかった!「I Will Always Love You」は勿論、チャカ・カーンのカヴァー「I'm Every Woman」がもうね! うう〜これ大好きなんだ……。ショウのシーンは派手で華やかで、思わず腰が浮きかけましたよね。

ストーリーはあれなんで、まあ…その、個人的にはニッキーに肩入れしちゃうんですけど……だってニッキー不憫だわのよ。フランク罪な男なのわだよ。またニッキー役の女優さん、チェ・ヒョンソン(최현선)の歌がもうすんばらしかったんだよねー。伸びるクリアな声。ソロは勿論レイチェルとのデュエットもキレッキレで。プロフィールを見ると翻訳ミュージカルの名作にことごとく出演されていたので、あちらでは有名な方なんだろうな。ちなみに犯人役の男優さんも歌は一切ありませんでしたがカーテンコールで披露した歌声が素晴らしく、プロフィールを見てみればやはりミュージカルに多数出演していた。も、もったいない…というか贅沢……。レイチェル役のイ・ウンジン(이은진)/YANGPAもむちゃくちゃ惹きつけられる歌唱力でした。「I Have Nothing」には思わず涙した。あと子役ちゃんがかわいかったです、ダンスが達者!

ミュージカルだけどソンウンさんは唄わない、との情報を得ていましたがそれは間違いで、実は一曲唄うとこありました。レイチェルと行ったバーでカラオケシーンがありまして。カタブツくんが直立不動で「I Will Always Love You」を唄うという笑いとるとこではあるんですが、低音の美声で平易に唄うのがすげえ渋くて格好よかったよ。ニック・ケイヴのようだったよいやまじで。このたとえわかるひとどのくらいいるか…いやホント、「Into My Arms」の唄いようだったんだよー!!! またよう通る声でな…倍音出てるわーてな感じでな……台詞まわしも心地よい。あの声でレイチェルていうとアルファベットでRachelて聴こえたよねー(何を言っているのか)!!!

見どころだと思っていたアクションは、ストップモーションやスローモーションを多用した演出(オープニングは『レザボア・ドッグス』のシルエット風)だったので本領発揮していたかというとアレなんだが、やっぱりガタイがいいので舞台映えする。よい存在感でした。フランクとレイチェルが一夜をともにした翌朝、レイチェルがフランクの寝顔を見乍ら唄うシーンがあったんですが、一曲分まるまるスヤスヤ眠ったまま(ちなみに上半身裸)というなかなかハードルの高い演技も要求されてましたね…もうニヤニヤしてしまったよね……。映像も多用されており、エンディングはふたりの思い出を走馬灯のように流すというもので……なんだろう、なんでミュージカルのオファーがあったんだろうと思ってたけど、あの美しい身体が決め手かと思ったりもしましたよ。その期待には十二分に応えてなさった。いい仕事だわ〜。

カーテンコールでは舞台挨拶の定番、客席の左右に手を伸ばしてゆっくり一礼する仕草を美しくこなしておりました。微笑して手を振る姿は皇族のようでした。そしてステージはそのまま終わらなかった、ソンウンさん進行でお楽しみ抽選会が始まった。これ、毎回やってるんだろうか? ロビーにソンウンさんのチラシが貼ってあるコーナーがあって、用紙に何か書いて箱に入れてるひとでごったがえしていたんだけど、1月9日が誕生日のソンウンさんにメッセージでも送るのかなーくらいに思ってたよ。ソンウンさんはあの美声で淡々と司会をし、それがドカンドカンウケていた。さっぱりわからなかった。わーん表情も変えずに何を話しているんだよ〜! こんな落とし穴(言いがかり)があるとは……うわ〜ぐやじい〜〜〜! 韓国語もっと聴きとれるようになろうと思いました……そんなこんなで狐につままれたような気分で会場をあとにしたのでした。楽しかった〜!

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・韓国ミュージカル「THE BODYGUARD(ボディガード)」 | Kstar Musical
日本語のレヴュー、レイチェル役がチョン・ソナさんの回。笑いが起こっていた開演前のアナウンス、こういうことを言ってたのかー。少しずつでもいいから韓国語聴きとれるようになろう……

・PROGRESS :: [뮤지컬 보디가드] 캐스팅 보드
Google日本語訳
キャスティングボード

よだん。音楽と芝居が同居しているこの作品の構成、スズカツさんの演出手法に合ってる感じがしましたよ。日本でのプロダクションも今後あるという噂ですのでちょっと期待。