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2016年08月26日(金)
『大人たるもの』

KAJALLA#1『大人たるもの』@KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

小林賢太郎が久しぶりにコント公演を打つ、七年ぶりにラーメンズのふたりが揃う。アンケート記入者で大混雑のロビーなんて久々。待望、だったんだなあ。以下ネタバレあります。

開演五分程前に黒子が登場。舞台を観るにあたっての諸注意を話します。といっても黒子はジェスチャー。音声は場内アナウンス。七年ぶりともなれば、舞台を初めて観に来る新規のお客さんも多かろう。そしてここ数年で、テレビドラマで片桐仁を知って観に来たひとも少なからずいるだろう。そんなひとたちにも向けた、とても細やかでかゆいところに手の届く「舞台を観る」ことに際しての心構え。客席はお茶の間ではない、携帯で実況し乍ら舞台を観ることは出来ない。それは何故なのか気づいたとき、「劇場に足を運ぶ」ことの楽しさにも気づくだろう、気づいてほしいという信念を小林さんは持っている。それが伝われば。

舞台の隅々に迄目の行き届いた美術が、統率された演者の動きと小道具の移動で表情を変える。照明も音響も(そう、音も)とにかく絵になる。そのなかにとことん計算された狂気が展開され、計算されつくしている筈なのに演者はそれを超えていく。そして多分、作者はそれを望んでる。片桐さんといういきものの効果はやはりすごくて、安井順平の反射力の高さ、落ち着いた受けの芝居はコントのさまざまな側面を照らす。竹井亮介のどんとこいな包容力、辻本耕志の小僧っぷりも素敵。辻本さんがほいほいハンコ捺しちゃうコントの愛らしさといったら。

それにしても小林作品初参加の安井さん、いい仕事っぷりです! 安井さんのことはイキウメから知り、のちに芸人さんだと知ったので、コントを観るのは初めてだった。とにかく芝居が巧く笑いの提出方法も見事だと常々思っていたけど、ホームを見た思いすらした。医者と患者のパート、小林医師がビュンビュン投げてくる頭おかしい球を涼しい顔でスパスパ受ける安井患者にはヒーヒー笑い乍らもゾクゾクしてました。絵師の役もよかったなあ。いい出会い。

これくらいのハコでこれくらいの出演者数で、大人がスーツでコント、頭おかしくて格好いい。シティボーイズの公演を観ることが出来なくなった今、個人的にはすごいしみじみしました。これは観ている方の都合で、やってる方はそんなの知らんわって感じですよね。それでも最後の成人式コントには『マンドラゴラの降る沼』の崖コント、「一瞬はたっぷりあるよ!」という台詞を思い出してしまった。歳を重ねて死の影がうっすらしのびよってくる、それでも生きていると、楽しいことがたくさんある。歳をとったからこそ面白いこともある。第二次成人式、第三次成人式……この先何度成人式を迎えられるだろう。出演者のなかで辻本さんだけが三十代というドキュメント的な要素もあり、心に沁み入るせつなくも清々しいエンディングでした。

フライヤーが来場者にのみ配られる、独自の制作も変わらない。裏面に、ラーメンズ、K.K.P.、ポツネン、テレビで得た経験を「これから、全部ここに返します」というごあいさつと宣誓。「#1」とあるとおり、同じメンバーかは判りませんがは継続していくプロジェクトのようです。KAJALLAは冠者らか患者らか、それとも出演者のイニシャルを用いたアナグラムか。大人たちのこれからが楽しみです。

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・師匠のいない僕らが、多分師匠と呼べる人|ロビンソンズ北澤の「ゴリラじゃないよ、人間だよ」
シティボーイズが〜とめそめそ言ってたらフォロワーさんがこっそり(?)教えてくれました。繋がるところは繋がるんだなあ。大人のコントに衝撃を受けて、格好いい! と思う。そして笑いの魅力にとりつかれる。
やー、コント観続けてたのシティボーイズだけだったものでね……観られてよかった。これも読めてよかった

・『カジャラ』|安井順平 オフィシャルブログ
そんな安井jpgのブログ。手応えを感じている様子

・シュガーカットのコント、被りものの容器に貼られていたラベル? ロゴ? が公演途中からなくなったそうで。黄色い容器とその形状からマスタードかと思っていたよ……。ロゴがあったらあったで出落ちみたいになって、名乗る前に素性(…)がわかっちゃうもんなあ。難しいところです。権利がどうとかは関係ないとは思うのだが、何だったんだろう