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2015年07月15日(水) ■ |
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dCprG goes on LEVEL XXX『Franz Kafka's South Amerika』tour |
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dCprG goes on LEVEL XXX『Franz Kafka's South Amerika』tour@Shinjuku BLAZE
『Franz Kafka's South Amerika』リリースツアー初日。このバンドのライヴにうってつけの日になった。7月7日に菊地雅章、8日に相倉久人が亡くなり、いつもそうと言えばそうだが、それにしても重なり過ぎだろうと思っていたところ、当日にこれだ。追悼と有事、全部のせか! みたいな有様。
今夜は特別だった。追悼文の名手と言われるけどやっぱり演奏にいちばん出る。喪失に執着するな、と言う言葉を思い出す。
千住宗臣と田中教順のポジションが入れ替わっていたのは2010年の野音以来か。このときは千住くんが他のライヴに出ていて途中から参加、と言う事情があったためだったと思うが、今回は何か理由があったのかな。昨年秋のリキッドを観られていない(ジェイミー・カラムと被った。そしてそのジェイミーのステージにサポートで駒野逸美が出ていて驚いた)のだが、このときはどうだったんだろう。そして菊地成孔はスーツを着ていた。礼服…喪服だろうな、と思う。新譜からの曲を中心に、3時間弱ガッツリ。
結成当初から傭兵部隊を名乗り、歴代メンバーも腕利き揃い。菊地さん曰く「ポリリズムのリテラシーはバラバラ」でもソロイストはインプロで対応出来てしまう、と言うのが前作が出る迄。その後リテラシーを共通認識させたと言う2013年11月のリキッドで現在のバンドの方向性が決まったと感じた。その編成で初めてレコーディングしたのが今作。フュージョンリバイバルの風を吹き込み、リズムはより鉄壁、高見一樹による楽曲はサルサマナーで、菊地さん、大儀見元、小田朋美によるコロも聴ける。そしてシェイクスピアのテキストはいくらでも深読みが出来る。アンコール前のMCで菊地さんが「ポリティックではなくミスティックなこと」と言っていたことに通じる。
「これ、(エディットなしで)実際に演奏出来るんだ……」と言うアホな感想が第一印象。リハ一回でこれか! もともとの馬力がある演奏家ばかりだからと言うこともあるが、目の前でやられると顎が落ちる。自分の音がモニター出来なかったら、キュー出しをちょっとでも見逃したらあっと言う間に崩壊するであろうと言う緊張感も半端ない。実際危なかったところが数箇所あり、菊地さんだけでなく坪口昌恭が小田さんにキュー出しする場面もあった。菊地さんがカウベルやクラベスを使うところも多く、ソロもあった(他の音が全部消えたときフロア湧いたねー)。最初はこうしてカウントとらないと演奏が出来ないくらい難しいのか? と思ったが(そういう側面もあったかも知れないが)考えてみればこれもサルサの手法だ。こんなハードコアなサルサ聴いたことないべ……呪術か。
そして小田さんの加入、これはホントデカい。最後のピース入った! と言う感じ。坪口さんとのコンビネーションも素晴らしい(と言うかふたりがガチッと合わなければ「JUNTA」「IMMIGRANT'S ANIMATION」辺りはかなり厳しい)、これもサルサで言うモントゥーノにあたるのだろう。千住くんと田中ちゃんもそうだが、同じパートを担当する彼らのやりとりは、プレイヤーにしか感じえない悦楽をシェアしてもらえるようで、観聴きするのは至福でもある。それはdCprGのメンバー全員のことでもあるが。
「Circle/Line」が始まったとき、うっすら予感はあった。願望でもある。恐らく最後に聴いたのはハラカミくんが亡くなった直後のライヴだ。それ以来やっていないと記憶している。同じ年の三月、『I love Poo』で菊地さんは「『Circle/Line』の後に、僭越乍ら私の曲『Hard Core Peace』が続きます」と言った。「安寧なピース等ありません、ピースはハードコアなものです」。大儀見さんと藤井信雄によるパーカッションのブリッジから続く「Hard Core Peace」は、その後大儀見さんと田中ちゃん、千住くんとのブリッジを経てCDJからフェイドアウトする構成になり、やがてフロアから消えていった。今回はどうするのだろう? CDJで繋ぐか、それとも……いや、やるとは限らない。でも、今日やらなくていつやる? 大儀見さんのソロは、果たしてあのエレピのリフに繋がった。「Hard Core Peace」に入った。
この前後のフロアは異様だった。「やるのか? やらないのか?」と言う空気で充満していた。ことが起こったとき、歓声よりもどよめきが大きかったように感じた。この二曲が繋がっていたときは、「待ってました」と言わんばかりにフロアが爆発したものだが、今回はそれこそカオスな状態だった。それも一瞬、すぐにダンスが始まる。笑い過ぎて脇腹がつった(笑)。そしてちょっと泣いた。ここで本編終わりかな、と思ったところに「構造1」が投下。先生脚がガクガクです。高揚しているのはフロアだけではなくステージ上もそうだった。演奏が終わったとき、菊地さんはメンバーに握手を求めていた。CDJからはハッピーな曲が流れている。
アンコール前のMCはいつにも増してテンパっていた。ちょっとやばいなと思うくらいだった。終演後に会ったサさんも「脳梗塞とか起こさないよね心配だよ」なんて言ってた。ホントにね…そういう自分も「躁期きた?」と思ってしまったよ……まあハイにもなるよなあれはな。聴いてる方ですらこうだもの、いわんや演奏する側をや。人間ドックの結果は良好だったそうなんで頼むよ元気でいてくれよ。書いてもよさげで(個人判断)印象に残った言葉をいくつか。
・プーさん(菊地雅章)のこととDCPRG結成の経緯:最初は吉祥寺のスターパインズカフェとかでやってたんだよ! 誰も踊らないの(爆笑) ・今日のジャケットは肩のところがしょっぱい、汗ではなくて清め塩。相倉久人の葬儀に着ていったのをそのまま着て来た
・大儀見と坪口がいないと俺は何も出来ない、音楽が出来ないどころか朝起きて何をしていいかもわからない、歯も磨けない ・大儀見が休んでたとき、俺はお腹から求肥が溶け出した鮎の和菓子みたいになってた(爆笑:好物だってブロマガに書いてた直後だからその引き出しだね!) ・俺自身は何の変哲もない人間だけど仲間に恵まれてる、メンバーに恵まれてる、たいしたコックじゃないけど高級食材がバンバン入ってくる、そうするとスゴイ料理がバンバン出来る。なにせ、なにせ、なにせ、千住宗臣!(その後「なにせなにせの」と続けて次々とメンバー紹介) ・アリガスが老けた、パッと見わかんないけど俺はここから定点観測してるからわかる ・(物販Tシャツに着替えて出てきた大村孝佳に)大村くんがこんなことしてくれるなんて!
・SNSに不満をぶちまけるとそれでもう溜飲を下げちゃって実際に行動しなくなるって話 ・だからSNSはやるなって話 ・二丁目のともだちに「アタシたちはHIP-HOP大キライだけどあんたは続けなさい」って励まされた話 ・北乃きいと田中ちゃんと俺の体脂肪率はシンクロしてるって話 ・アミリ・バラカに「マイルスみたいだねー」って言われた話
この辺りはもう爆笑に次ぐ爆笑で例年のピットインかってくらい口が滑りまくってましたね……。同じトーンでシリアスな話もあり。やっぱり思い出話も出て、久々にP-VINEの天才マタバくんの名前を出たのが嬉しかった(笑)。そうそう、「21世紀の戦争は20世紀とは違う。ストリップみたいだ。脱ぎそうで脱がない。見せそうで見せない。しそうでしない。そして俺はストリップは大好きだ」とも言っていた。これって今日の「Hard Core Peace」がそうだったね。それでは戦争もいつかは起こるのか。さてそのとき、どうしていようか。その前に、どうしようか。有事は日常だ。
その他。
・音源聴いたときもえっと思ったけど、大儀見さんの声ってこんな甘いん? て言う……小田さんとのユニゾンがとても気持ちよい ・アリガスが老けたのは演奏がたいへんだからではないですかね……やたいぼねー
・千住くんと類家心平の髪型、なんかさっぱりして板前みたいになってた ・足元見えなかったんだけど千住くんツーバスだった? ・田中ちゃんのルックスがなんか『天皇の料理番』で徳蔵をめっちゃいじめた荒木(THE SHAMPOO HATの黒田大輔ですよ! いい仕事した!)みたいになってた ・そうは言っても田中ちゃん、「構造1」すごかったね…いや全曲ね……腰抜けるわ…… ・ソロイストたちもキレッキレ。津上健太と高井汐人の鍔迫り合い! 類家くんもバリバリ ・と言えば終演後「Tpがいいですねえ」とニコニコ話し合ってる年配の方がいた。あの歳でスタンディングで三時間近くのライヴはきつかろう…と思ったが結構ケロっとしてらした。サさん曰く「戦時とか戦後生まれは体力あるんだよ〜」。そうね…見習いたい……(ほうほうのてい)
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セットリスト(こちらのツイートを参照させて頂きました。有難うございます)
01. RONALD REAGAN -ロナルド・レーガン 02. fkA(Franz Kafka's Amerika)-フランツ・カフカのアメリカ 03. VERSE 2 -韻文2 04. PLAYMATE AT HANOI 05. JUNTA -軍事政権 06. GONDWANA EXPRESS -ゴンドワナ急行 07. IMMIGRANT'S ANIMATION -移民アニメ 08. CATCH 22 09. CIRCLE/LINE〜HARD CORE PEACE(最後の平和を我等に) 10. 構造1(現代呪術の構造) encore 11. DURAN feat. DOPE(78)by AMIRI BARAKA
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・インタビュー:菊地成孔『DCPRGからdCprGへ、混沌から構築へ。好機を捉えた新作を語る』- Time Out Tokyo ライヴ後改めて読むと膝を打ちまくる、成程『構造と力2』計画ね……新譜以外の面でもとてもいいインタヴューです
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