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2014年01月17日(金) ■ |
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朗読「東京」『東京ノート』 |
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芸劇+トーク ――東京を読み 東京を語る―― 朗読「東京」『東京ノート』@東京芸術劇場 シアターイースト
三日目は平田オリザ『東京ノート』を菅原永二×佐久間麻由で。演出は江本純子。舞台上にはソファや長椅子、テーブルが数脚。後方に面出しブックスタンド。一冊だけ文庫本が置かれているが、客席からだと何の本か判らない。前方にホワイトボード。登場人物の名前、プロフィール、相関図が書かれている。開演迄それを眺めて予習(笑)こんなにいるのか…数えてみれば18人。これをふたりで!?
ホワイトボードが撤去され開演。私服っぽいダッフルコート(かわいい)姿の菅原さんが入ってくる。ブックスタンドの文庫本をとりあげ、裏表紙のあらすじをぶつぶつと読み始める。あ、これハヤカワ演劇文庫か。そういえば『東京ノート』も刊行されていたっけ。そこへ佐久間さんが入場。一瞬目を交わし、そらし、中央の長椅子の両端に座る。ホンをひろげる。本編が始まる。読了後はまたよそよそしいふたりに戻る。女性はカメラを置き忘れて出て行く。それに気付いた男性は一瞬躊躇するが、カメラをとりあげることもなく、あとを追うこともなく出て行く。終演。
アフタートークで、これは「音読カフェに来た初対面の男女が戯曲を読み始める」設定だったと判明。成程!ホンがないときとホンに入っているときの男女の距離感が面白い。役者の面白さでもあります。
これ初演だか再演だか観てるんだけど導入等すっかり忘れており、菅原さんが読み始めた役が女性だと気付くのにちょっと時間がかかった。そうだよなあ、日常の会話で「〜よ」とか「〜だわ」っていかにもな言葉を使うことって、実のところそんなに頻繁ではないのだ。その人物が男か女か、テキストのみでは判らない。会話の進行によって、その内容から徐々に気付いていく。ジェンダーって曖昧なものですね。
基本ひとり9役くらいですが、担当している役同士が会話する場面が続くと誰が誰だか判らなくなる。そういう場合、演者が役をスウィッチする。実質ひとりあたり11役だったそうです。明確な合図があった訳ではないけれど、あ、さっき菅原さんがやってたこの役は今佐久間さんがやっているのね、と言うのは判るようになっている。平田さんのホンなので同時多発会話もある。相づちや単語のみでの会話が連発されるところもある。にも関わらず、各パートのキモはしっかり前面に出てくる。実質一日くらいの稽古だったそう、すごい……。
ぼーっと聴いているとあっと言う間に誰が誰だか、になってしまうところは確かにあるので、集中力は結構必要。終演後江本さんが「観る方も体力がいったでしょうね」と仰ってたけどホントそうでした。戯曲の登場人物20人を18人に、場面や台詞もブラッシュアップして上演時間も1時間に短縮したものではあったけどかーなーりー濃かったわー。
そうやって聴いていると、当時自分は同時多発会話と言うスタイルにばかり注目して観ていたんだなと気付く。菅原さんも仰ってたけどこれすごくせつないホンだ。家族、職業、学習。登場人物たちが社会にどう関わっているか。関わりに疑問を持ち、その疑問こそが社会に参加していることだと気付きまた悩む。悩んでいても解決にはならず、それはせつなさをもたらす。改めて観る(聴く)機会を持ててよかった。
アフタートークも面白かった、ジュンリー素敵☆ 菅原さんとは初タッグだそうで(『劇団演技者。』の「インテリジェンス」で共演はしており、呑み会で会うこともあったので面識はあった)、江本さん曰く「本谷さんとか岩井さんとか、割と近い世代の演出家の作品に出ていることが多くてずっと気になってて。いいなーって、私のにも出てほしいーって…ひとのもんほしがる子供みたいですけど(笑)」。応えて菅原さん「僕は誰のものでもありません…(半笑)いや、でも光栄です」。あと佐久間さんの「川崎出身なんですけど、そう言うと『へえ〜…(川崎ねえ…)』みたいに返されるから横浜出身ですって言ってます。いや、実際境目で、ちょっと行くともう横浜のところなんですよ!」と言う力説が面白かった。神奈川って言えばいいじゃない!これだから横浜は!@マツコデラックス
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