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2013年05月05日(日) ■ |
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『レミング』 |
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ひきつづきブンブンでぬけがらと言うか燃えカスみたいになっていて(以下同文書いてるのは11日)。
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『レミング』@PARCO劇場
段差がない座席の最後列(Z列。3列目ですね)だったらまー見えない見えない、松重さんが(泣)。ご覧になった方は判ると思いますが、8〜9割床から頭を出した状態での立ち(座り?パンフの稽古写真では胡座かいてましたね。あの中はこうなってるんだーと面白くもあった)位置に、ちょーど前列のひとの頭がですね……と言う訳でおかーちゃんが畑から頭を出す瞬間を悉く見逃す。と言うか全部見逃す。松重さんの声が聞こえたら「あ、出てきてる!」と首をななめ〜につっぱって視界を確保すると言う…隣席の方すみません……でもその隣席の方も同方向に首を伸ばしておった。このまま畑から出てこなかったらどうしようと泣きそうになったが最後出てきて嬉しかった〜。何を見に行ったのか。いやでもだって松重さんだよ!?あの身長を封じるとかナシで!ひっぱったぶんぬら〜と畑から出てきたときのインパクトはすごかったです。衣裳もアレだしね!だんだんかわいく見えてきたよね!カーテンコールの頃にはすっかりおかあちゃん、そのスモックみたいなワンピースかわいいよ!とか思ってたよね!(同意を求める)
ううむ、これ前日シネマ歌舞伎観てて、彌十郎さんの女形てホントかわいいわーと思ったのに通じるかも知れない……単に自分の嗜好なのだろうか。ちょーかわいいよねー!(何度でも言う)
ここ迄言ってると説得力なさそうですが、いやそれにしても松重さんの母役素晴らしかったのですよ。八嶋さん演じるタロとの淫靡な母子の関係。母親と離れたいと思っていてもどうしても離れられない息子、息子にありったけの愛情を注ぐ母親。「白髪で編んだ決して枯れない菜の花」の台詞を聴いたときには、そのグロテスクさに潜む圧倒的な美に喉を締め付けられる思いでした。また松重さんって声のトーンの抑揚が独特で心地よい。タロを叱りつける声、諭す声、何ともつかぬ話をする茫洋とした声。床下に押し込められて隠されていても、息子を思い続ける母親の途方もない、得体の知れない冥さ。不気味なんだけどなんとなく安心する、なまあたたかい沼みたいな感じ。
と言えば八嶋さんのあの立ち位置も印象的だった、維新派ワールドにい乍らにして、その内側からツッコむ笑わせる。陶酔しそうになる観客を我に返させる、イメージ通りの八嶋智人。自分の役割を徹頭徹尾演じきるタフさっぷりは格好よかったなあ。なんて言うか…このひとホント肝が据わってる。
そして内橋さん生演奏だったのね!演奏ブースと真反対の席だったので遠くを見渡せず、カーテンコールでご本人が挨拶する迄気付かなかった。録音にしては演奏が生々しいなあとは思ったが、録音も何も…であった。あとやっぱり維新派フォーメーションは全体を観たかった…しかし席位置は運なのでどうにもこうにも。まあ近くで観られたのでいいとしよう……。
と言う訳でつくりは維新派なんだけどなんて言うかちゃんとPARCOだったって言うか…うーんなんて言えばいいんだ、額縁舞台で、あの空間でって言う。と言えばPARCO劇場、ハコ自体に独特の冥さがありますよね。それこそアングラの面影が残る、迷路に入り込むような不安感がある。それは見てはいけないものが見られるかも?と言う期待でもある。寺山修司には間に合わなかった世代ですが、今観ることが出来ている野田さんや鴻上さん、最近では松井周さんの作品に、ああここは寺山さんが創作の母となっていたのかなと思い返す箇所があったのが興味深かったです。患者と医者の関係、どちらがどちらを治療しているのか、癒しているのか?母親を買いに行く、家族は交換出来る。姥捨て。うっすらとしたモチーフ。遠い母でもあるのだろうが、こうやって伝わっていくのだなあ。
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帰りに『寺山修司と天井棧敷◎全ポスター展』をやっているポスターハリスギャラリーへ。『レミング』半券提示でフリー入場出来ました。シルクスクリーンのオリジナルポスターも観られて嬉しかったー。それにしても宣美、錚々たるメンツですよね…どれもこれも貴重なアート作品。
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