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2012年10月08日(月) ■ |
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Penguin Cafe 特別公演 |
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Penguin Cafe 特別公演@ラフォーレミュージアム六本木
一曲目の「Perpetuum Mobile」を聴いているうち、とある妄想が浮かんだ。タイタニックが沈む迄演奏を続けた楽団は、海でペンギンに生まれ変わりペンギンカフェを結成した。やがて彼らは陸に上がり、再び船に乗り込み、今日ここで演奏をしている。彼らと同じ船に乗り合わせた聴衆は、目の前の危機的現実からしばし離れ、演奏に聴き入る。
終始笑顔で、穏やかに演奏しているかに見えたアーサーが、アンコール後に見せた背中は汗でびっしょり濡れていた。
何故そんな妄想が浮かんだのだろう。「Perpetuum Mobile」のストリングスのロングトーンに、ふとギャビン・ブライアーズの『The Sinking of the Titanic(タイタニック号の沈没)』を思い出したからかも知れない。しかし『タイタニック号の沈没』とペンギンカフェオーケストラ(PCO)のデビュー盤『Music From The Penguin Cafe(ようこそペンギン・カフェへ)』が、同じブライアン・イーノのオブスキュアレーベルからリリースされたと言う情報は翌日知ったのだ。どちらも入口は別々で、そしてどちらも所属や系譜を知ることなく(知る必要がないと思える程、自然に聴けるものだった)、長いこと愛聴していたものだった。
思えばPCOは、カセットテープにダビングしてもらったものだったから、レーベルや演奏者のクレジットを目にすることもなかった。カセットデッキが家からなくなり、その曲からも遠ざかった。今回改めてベスト盤を買い、iTunesに取り込み、新しい音楽ファイル形式で聴いている。聴くメディアが変わっても、こうやって聴き続けることが出来ることを幸福に思う。アーサーがペンギンカフェ(PC)としてこの楽団を再スタートさせなかったら、縁がなくなっていたかも知れない。そしてその父、若くして亡くなったサイモンのことを、彼があの音楽を作っていたのだ、と思い返すことも。
アーサーは最初のMCを日本語で話した。「チチハ、ニホンダイスキデシタ」「ボクモ、ニホンダイスキ」。PCOをライヴで聴くことは叶わなかったけど、アーサーがサイモンを連れてPCで来てくれたように感じた。音楽を聴き続けていると、こういうことがある。嬉しかった。これからまた聴き続けることが出来る。
タイタニックの話には後日譚がついた。twitterで同じくタイタニックを連想した、と書かれている方がいて、しかもそれが友人の友人だった(当人同士は知り合いではなく、面識も全くない)。友人のRTを見てお互いビックリ。こういうことってあるのだなあ。オースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』に出てくるような出来事で、ほっこりしました。
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・セットリスト 01. Perpetuum Mobile 02. From The Colonies 03. Swing The Cat 04. Aurora 05. That, Not That 06. Landau 07. Air A Danser 08. White Mischief 09. Dirt 10. In The Back Of A Taxi 11. Paul' s Dance 12. From A Blue Temple 13. Music For A Found Harmonium 14. Dude Looks Like A Lady 15. Telephone & Rubber Band 16. Giles Farnaby's Dream 17. Salty Bean Fumble 18. Beanfields encore 19. Perpetuum Mobile(with 相対性理論) 20. Harry Piers(Arther's Solo)
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・【インタヴュー】「ペンギン・カフェ」の夢は21世紀も続く:音楽家アーサー・ジェフスに訊く
・SuicaのペンギンTシャツのひとがいて微笑ましかったです。なんとなく、ペンギンものを身に着けて来たいっての、あるよねー
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