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2012年02月11日(土)
『没後150年 歌川国芳展』後期、山口晃展『望郷 ―TOKIORE(I)MIX』

『没後150年 歌川国芳展』後期@森アーツセンターギャラリー

早起きして六本木。受付+入場は10時から、ほぼその時間に着いてチケット買える迄10分程でした。30分以上のときもあったそうだから、やっぱ朝来て正解だったな…入場も朝イチだと前にひとがいない訳で、混雑で詰まると言うことがなく見やすかったです。しかし最初のセクションが武者絵なので、そこはやはりひとの頭越しに観るのが殆どでした。

主線の太さがマンガ的にも感じ、その主線を黒以外の色でひいたり、違う色同士で重ね刷りしているところがポップにも感じる。淡い水色や桃色の使い方も洒落ている。コマ使いもマンガ的なんですよね。美人画の目線上にコマが配してあって、そこには彼女の思いびとが…みたいな。江戸っ子の粋ですね。

しかしその粋な江戸っ子が、武者絵のあのバイオレンスっぷりを描き出すと言うのも面白いところ。美人画や、ねこ、金魚の戯画のかわいらしさと、武者絵のエグさは続けて観ると絶句するところもあります。そしてどっちも見て来たんかいそれを!とか思う。妖怪との血みどろの死闘も、おたまじゃくしの手をひいて縁日に向かう金魚たちも、まるで国芳は現実に目にしたかのように活写する。没後150年になっても瑞々しく躍動するその線、その色。それを生み出すその目、その手にひたすら敬服。

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さて銀座へ移動、この時点でまだ昼前。早起きはなんとやらですな。歌舞伎座近所の『You』でオムライスを食べました。ここのオムライス好きすぎて、他のメニューのナポリタンやグラタンも気になるのにいつもオムライスを頼んでしまうよー。歌舞伎座の工事も着々と進んでいるようです。

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山口晃展『望郷 ―TOKIORE(I)MIX』@メゾンエルメス 8Fフォーラム

さてこちらは現代に生きる絵師でございます。kaollyさんツイートしてくれてありがとー、いいハシゴになりました。

初日。全て新作。昨年の『東京旅ノ介』から続く、東京への諧謔と哀愁と愛情に溢れた構成。

「忘れじの電柱」は『東京旅ノ介』でも展示されていた電柱のインスタレーションシリーズの新作。このギャラリーは天井が高いので、この電柱の高さも実寸ではなかろうか(追記:この電柱として使われた柱はもともとギャラリーに設置されているものだそうです。それを黒くして作品にしたと)。これは圧巻でした。「正しい、しかし間違えている」はパースの狂った小さな部屋のなかに数点の下絵と椅子、テーブル、電話類。身体を傾け乍ら鑑賞。実際東京には「こんなスペースによく建てたなあ、入れたなあ」、奇術か?なんて笑えてしまうような空間がある。銀座のど真ん中のギャラリーに、デフォルメされた(しかし正しい)東京が置かれている。この不思議な、気が狂いそうな感覚は山口さんの真骨頂。

そして大物「Tokio山水(東京圖2012)」!ものっそい途中でした(笑)主線も全部入りきってない。しかしこれがまた、完成を期待せずにはいられない気配がありありです。サイズもデカい上、緻密な線がここに加えられていくのか…そしてあの色が……と、その序盤の姿からすら気圧される感じでした。なんでも毎晩閉館後に山口さんが来て描き進めているそうで、完成予定は四月頃とのこと(kaollyさんお知らせ有難うー)。何度か通ってみねば…これは見ものだ。描くひとの姿は見ることがないのに、同じ空間に再び行ってみると絵のなかの世界が進んでいるなんて。ワクワクする!

自分ちや職場周辺も構図に入っていて嬉しかった。正しい、しかし間違っているそこに勤める自分、そこに住む自分。山口さんの描く街並には、そこに暮らすひとたちの息づかいをも掬いとっているかのよう。同じ時代に生きて、作品をリアルタイムに観ていけるなんてとても幸せなこと。

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銀座デパート巡りもして、松屋のナガオカケンメイ構成『森正洋・デザインのことば』展も見てきました。金言、しかしところどころくすっと笑える。