I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME
|
|
2011年12月18日(日) ■ |
|
『ピカレスク・ホテル』 |
|
『ピカレスク・ホテル』@赤坂RED/THEATER
17年振りの『ピカレスク・ホテル』!ぎやーん嬉しい!『ピカレスク・ホテル』とは何かと言うと、1991〜1994年にプラチナ・ペーパーズが今はなき新宿THEATER/TOPSで上演していたシリーズ。舞台はホテルの一室、男女のふたり芝居二本立て。音楽はピアノの生演奏。受付にはイケメンのベルボーイ(ああっ当時イケメンなんて言葉もなかったよ!)がおり、席に案内してくれる。これTOPSが狭い+開演時間が近くなるとどどっと入場者が増えてしまい、いちいち案内してると開演時間に間に合わなくなるので途中から半券切るだけになっちゃった(笑)のもいい思い出です。
脚本は初期は全て堤泰之さんでしたが、途中からゲストを招くようになりました。演出は全て堤さん。思えばその頃の堤さんは四本立ての『ラフカット』も全作脚本演出していたし(追記:失礼!全作手掛けていたのは演出のみでした。それでもすごいが…)(これも後に「流石にもう無理!」となりゲストを迎えるようになりましたが)多作でしたね。しかもどれもクオリティが高かった。切れ味鋭く登場人物の心の機微を描く、上質の短〜中編を数々生み出している方です。
今回のゲスト作家は中津留章仁さん。演出もご本人でした。中津留さんのお名前は新聞記事(・asahi.com『震災・原発すぐ反応〈回顧2011・演劇〉』)で見たばかりで、丁度気になっていたところ。公演前のインタヴューによると(・観劇予報『いよいよ開幕!「ピカレスク・ホテル」演出家対談』)先輩から「クリスマスシーズンだから心温まるものに」しろとプレッシャーをかけられている(笑)。
と言う訳で、新宿から赤坂にお引っ越ししたピカレスク・ホテル。RED/THEATERは実際のホテル(赤坂グランベルホテル)の地下にある劇場で、おおっいい転居先ではないの。ベルボーイ(いたー!)に半券に切ってもらい入場すると、小林洋さんのピアノリハが始まっていました。贅沢な客入れ。ベルボーイが宿泊客の荷物を部屋に運び込み、開幕です。堤さんの『リボン、ちゃんと結びなさい』と中津留さんの『男か、女か、』、45分ずつの計90分。
いーやーぴーとさんの真似しちゃうとまさに盤石の面白さ、揺らがないわー。45分で登場人物の心境と立場が入れ替わっていくさまをスリリングに見せつつ笑いも満載。演者の巧さとリレーションシップも多大に貢献しています、キャスティングの妙。これらはどちらにも共通。そしてホテルの一室、男女ふたりきり、と言うある種セクシュアルなシチュエーションをどう見せるか。
堤さんはエロティックな男女関係を、中津留さんは結婚と言うテーマを提示。おかやまはじめさんを最終的に屈服させる内田慈さんが素晴らしかったー!てか知らず知らずの間に追い詰められていくおかやまさんの見せる男の弱さも見事。あと内田さん、アクビちゃんに似てる(笑)かわいい。長谷川朝晴さんはヲタ気質を男のロマンへと巧みに変換。一歩間違えるとうわちょっとこのひと危ない、となってもおかしくない人物なんですが、長谷川さんが演じると不思議ちゃんでも社会の一員としてやってけるんだぜ!みたいな…バランスのとりかたが上手いなー。江口のりこさんは不思議ちゃんを通り越してもはや宇宙人(これはストーリーにも関係してくる)…すごすぎた、コメディエンヌっぷりを堪能させて頂きました。声がまたいいのよー、だいすき。そんなふたりが揃うと、ああいるよね宇宙人、とフツーに納得させられてしまう。心温まったよ中津留さん!
いやもう楽しかった…いい年末。チラシには「新しい『ピカレスク・ホテル』シリーズ、スタートします」とあったので、また公演があるのを楽しみにしています。
|
|