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2011年09月04日(日)
『smile』

川平慈英の箱 J's BOX vol.4『smile』@ニッポン放送 イマジンスタジオ

川平慈英さん企画原案演出出演のワンマンライヴショウ、4回目だそうです。歌、ダンス(タップも踏むよ)、トーク、リーディングと川平さんの魅力満載のステージでした。共演は織田佳奈子さんと栗山絵美さん。音楽監督、演奏に岩崎廉さん。

リーディングテキストをスズカツさんが書き下ろし。『ライフ・ウィズ・アーセナル / Life with Arsenal』と言うショートストーリーで、育てておおきくしていきたいとのこと。詳細、経緯はこちら。「オオノ・ジェイムズ・スミス・ジュンイチ」に「ショーン・タロー・オノ・レノン」を思い出したりもしました。サッカー好きにはきっとああ!とニヤニヤするディテールが沢山盛り込まれているのだと思います。「サッカーは苦痛と憎しみの娯楽」ってところが興味深かった。スズカツさんて演出家としてはドSだけどサッカーファンとしてはドMだよねー(笑)。今回は序章、と言った感じで、次回以降に期待を持たせるテキストになっていました。

リーディングと言っても慈英さん殆ど頭にテキストが入っていたようで、そこから派生するオオノ・ジェイムズ・スミス・ジュンイチの育った環境、ふたつの祖国を持つ背景、サッカーと恋に落ちてしまった少年がそのまま大きくなったような人物造形と言った細かいニュアンスがテキストの行間から溢れ出すような勢い。そこには少なからず慈英さん本人の要素も入っているし、オオノ・ジェイムズ・スミス・ジュンイチを生きる慈英さんもいる。

うーんなんだろ、リーディングと言うよりローディング、と言う感じもした。慈英さんが場面場面をブロックでロードして、自分のフィルターを通して、観客に提示してくれた感じ。なのでそのブロック間に一瞬空きが出たりして、こちらも「あ、リーディングだった(通しの芝居じゃなかった)」と我に返るようなところもありました。そういう面がとてもアクティヴで面白かった。

それにしても、ジャンルは違えどスポーツ観戦は好きだったりするので(実のところサッカーにはハマらないでおこうと言う自制がある。理由も判っている。普通に観ること自体は好きですよ)、いや、スポーツ観戦に限らないけど、常勝チームのファンで居続けるひとのモチベーションて何だろうと思ったりもしました。人間て飽きるいきものですね。そして飽きないように意識/無意識に努力するいきもの。まあファンってのはおおむねどMですわね、つらいねー(自分もなー)。

ショウタイムはスタンダードナンバーからオリジナル、有楽町のあの劇場(笑)のレパートリーも毒あり笑いありで聴かせます。ジャグリングも飛び入りゲスト(事情が事情なのでweb上に書くなと言われたよ・笑)を迎えて大盛り上がり。トークにはジョン・カビラ氏が飛び入り!兄弟トークが聞けて面白かった……。底抜けに明るい慈英さんのエンターテイナーっぷりを存分に楽しめた反面、そんな彼の陰みたいな部分が垣間見られたことにもわっ、となりました。あの映像と、アメリカでの出来事は印象に残ったな。これを陰と言うのは変かも知れないけど。

あのスマイルには彼のいろんな経験が含まれている。それが観客にスマイルを届ける力にもなっている。

体調悪くて這うようにして行ったんだが(笑・いやーしかしこれサマソニんときでなくて助かったわ…舞台は座れさえすればなんとか…なんとか観られるからな)そう迄して行ってよかったよーと思える楽しくじわっとくるステージでした。

さてこのイマジンスタジオ、名前からピンと来た方も多いでしょうが、ジョン・レノンの「イマジン」がモチーフ。アプローチ側のガラス壁面にジョンの直筆をプリントしたスピリットボードがありました。カーテンで隠されていたのですが、冒頭アプローチから慈英さんが登場する際そのカーテンが開けられ、一瞬ボードを見ることが出来て嬉しかったな。レノンフリークのスズカツさんもこのスタジオで仕事が出来てさぞや嬉しかったことでしょう(微笑)。