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2011年09月02日(金)
『FURO祭 男湯な日』

『FURO祭 男湯な日』@Shibuya O-EAST

吉祥寺の弁天湯で開催されていたシリーズライヴ風呂ロック。今年でそのシリーズが終了となり、3月17日に最後の公演が行われる予定だったところ、震災の影響で中止になってしまいました。それに代わるイヴェントとして3つのライヴが企画され、その第二弾が『男湯な日』。ちなみに第一弾はoutside yoshino(!)出演の『吉祥寺な日』、第三弾はオニちゃんやTADZIO出演の『女湯の日』。

仕事が終わらず20分程遅刻。いちばんの目当てだった大友良英 × U-zhaan × 熊谷和徳がトップバッターだった…(泣)が、多分一曲を20分くらいやってたっぽい。直後に挨拶のMCが始まったので。大友さんとU-zhaanの「元気?」「元気ですよ」って普通の会話が続いた。マイクを持たない熊谷さんはふたりの間でニコニコしてた。熊谷さん、春に観たときよりも確実に痩せていた。この三人には本当にいろいろあった半年だったのだろう。「元気?」と言うごく普通の挨拶にも意味を帯びるように感じる。

まあそんなことを勘繰ってしみじみしているこっちのことは置いとこう。U-zhaanのドSっぷりがまた発揮されていたのが面白かった。大友さんニコニコして応えてる、おじいちゃんみたい(笑)。「髪切りましたよね」ってフリに女子高生のように照れるなYo!かわいいZo!「もうちょっとどうにかなりゃいいんだけど…」「U-zhaanみたいに豊かじゃないからね!」そんな自虐ギャグを言うなー!そんな女子高生マインドの年長さんにU-zhaanは「じゃあ次は大友さん唄いましょうよ」と無茶振り、「ええー?」とうろたえつつ唄いだすおおともっち、それで一曲やった後「ホントになんでもやってくれるんですね、大友さん」…ドSー!

しかしその大友さんの歌から始まった曲がよかった。歌詞は敢えてここには書きませんが、現状への怒り、悲しみ、他者への励ましを唄ったものでした。この三人ですから全編インプロだったのでしょうが、やっぱりそこでこの言葉たちがパッと出るのは、当然乍ら大友さんの関心や悩み、思いの殆どがこちらに向いているのだなあと思い、彼の、自分たちの現在を目の当たりにしたようで、ああこのインプロ聴けてよかったなあと思ったものでした。

U-zhaanもユル〜い会話をダラッダラに続けた直後にビシッとキメてくれるし、熊谷さんはタップボードのチューニングなんて小ネタを見せてくれつつも、演奏が始まると大友さんとU-zhaanのバトルをアンサンブルとして自分のタップに包み込んでいくような懐の深さを感じました。全員リズムを刻む演者であり、同時に皆歌心がある。いやーよかった。

キセルは初見、ほわーんとした声を持つデュオ。賢崇さんの声好きなひとはおおっと思うのでは。後で調べたらおふたりは兄弟なんですねー、「いつまで経っても息が合わない」なんて言ってたけどいやいやいや。のこぎり(ミュージカル・ソウと言う名前があることをバンド紹介のテキストで初めて知る)のほわんとした音と声がとてもマッチしてて気持ちよかった。いぬのうたがよかったなあ。

メインステージに緞帳が降り、サブステージでオオルタイチさん。千住くんが所属していたウリチパン郡の中心メンバーだったので気になっていて、今回初めて観ることが出来ました。ひとりセット、打ち込みバックトラックに即興で歌を載せていく感じかな。この歌と言うのがオリジナル言語なのか何を言っているのか判らない。プロフィールを見ると「非言語」とのこと。ダンサブルなトライバルビート、そしてハウス。格好よかった!途中メインステージの緞帳が開き、ZAZENのセッティングが始まったので客が「ZAZEN始まるの?」と言った感じで落ち着きなくなっちゃったとこはちょっと気の毒でしたが盛り上がったよー。

で、ZAZEN BOYS。うへーいつ観ても隙がありませんね…ホントすごいな。後ろから忍び寄っても斬られるな(何の例え)。毎回熱心にライヴに通っている訳ではないのでどの辺りからそうなったのかは判らないけど、各メンバーのフィーチャー場面が増えたような気がする。吉田一郎が感情を顔に出すようになってきたような気もする。あとコブラっぽさが増してる(笑)。で、それが緊張の中に一瞬生まれるユーモアを醸し出していて面白い。向井くんと柔道二段松下敦がSMの関係に見えてきますね(微笑)。それにしてもこの道場っぷりは他では観られないもの。観る度貴重だわと思う。

そして向井くんがアンドリュー・ウッドコスプレ(金髪にチューリップハット)じゃなくてホッとしました(内輪ウケ)。