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2011年08月21日(日)
『和菓子を聴く展』

『和菓子を聴く展』後期@とらや 東京ミッドタウン店

ミッドタウンのとらやは定期的に企画展示を行っているギャラリーというもうひとつの顔があります。洗練された店舗デザインも美しく、眺めに行くのも楽しいところ。この夏の展示は『和菓子を聴く展』。

・とらやブログ『和菓子を聴く』

行けなかった7月中旬迄の前期は「菓銘に宿る世界」。お菓子の名前=菓銘の由来と、そこから拡がるイメージをヴィジュアル化した展示だったとのこと。

後期は「和菓子の音楽」。菓銘、意匠、味わいからのイメージを大友良英さんが音楽で表現したものが展示されています。とりあげられたお菓子は『夜の梅』『水の宿(みずのやどり)』『残月(ざんげつ)』。意匠=模型サンプルの前にヘッドフォンが設置されており、それぞれの曲を聴くことが出来ます。水の宿は1999(平成十一)年からのものですが、残月は1819(文政二)年、夜の梅は1711(正徳元)年から作られている伝統あるお菓子。それぞれの楽譜と大友さんのコメントも展示されていました。大友さんがいちばん気に入った味は『水の宿』だったそうです。

聴いてみるとこれがまたぴったり、とにっこりしてしまうようなお点前。しっとりとした重みのある夜空に浮かび上がる白梅のような夜の梅、ひとの目の触れられない場所から湧き出る清流とそれを照らす陽光を連想させる水の宿、ピリリと軽快な生姜風味の残月。和楽器等は使わずギターとピアノ、シンセで編成された大友さんだーな楽曲なのですが、古来からの日本の風流がパッケージされたような仕上がりです。一曲2〜3分で、構成もちゃんと楽しめる。

レコーディングは6月。このお仕事の依頼がいつあったのかは判りませんが、震災から五ヶ月、大友さんがどれだけ大変な思いをしたか、活動(音楽の方向性が変わる訳ではないけれど、アクションそのものには大きく影響があったと思う)にどれだけ変化があったかを想像し乍ら聴くとほっとするやらほろりとするやら。置かれていたリーフレットに寄せられていた大友さんのコメントもしみたなー。全文アップしてるところないのかしら。転記していいものか……一部抜粋。

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メインではないけれど、食事の最後に余韻と深み、
そして豊かさを与えてくれるもの。
もちろん、いつでもそんな豊かな時間を
過ごせる訳ではないのが人生だ。
ときたまあるからいい。
ときたまだからその良さがわかるというものだ。
だからせめてその“ときたま”くらいは
思い切り贅沢したいと思う。
こう書くと、なんだか音楽に似てませんか。
音楽も始終耳にイヤホンを入れて
聴き続けるよりは、
ふっと深呼吸をしてゆっくり聴くのがいい。
ときたまある豊かな時間でいいと
私は思っています。
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そんな時間を、3.11以降大友さんは持てているのだろうか。作り手にそんなことを思うのも失礼なのかも知れないが。それでもこんな心が安らぐ音楽を届けてくれた大友さんに感謝。ご本人がハラカミくんとのことをブログに書かれていたけど、ホント身体には気を付けて。元気でね。

余談だけどこないだ矢野さんの『えがおのつくりかた』を読み返してたらハラカミくんから矢野さんへのメッセージが載ってて、ここでも「いつまでも健康でいてほしいです。」って書いてた。ハラカミくんはひとの身体のことばかり心配してて、自分のことは、まったくもう……。

とらやな素敵パッケージでCDも販売されていました。「おまけ?」と題されたボートラも収録。10分ちょっとの心が落ち着く曲。聴いてたらその日ずっとジンジンきてた頭痛が治まった!マジで!そんな(どんなよ)音楽です。

モチーフの和菓子も勿論販売。でも大友さんのお気に入りで、自分もいちばん食べてみたかった水の宿はシーズン販売終了していた。ガーンこれ展示の前からカタログで見て楽しみにしてたのにー!会期いっぱいは販売しててほしかった…しょんぼり。夜の梅と残月は小分けパッケージで販売されていたので買ってきました。うふふ、おおともっちセット。



もひとつ企画展限定菓子の羊羹もありました。こちらは菓銘がなく、購入者それぞれが名付けることで完成する作品、とのことです。とらやはやることも見た目のデザインもひとつひとつが粋だわあ。ずっとあのとらの意匠をTシャツにして売ってくれんかなあと思っております。羊羹がぴったり収まるトートバッグとか、素敵ー。

こうやってみると、夏休みは和菓子に縁があったなあ。