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2010年12月15日(水)
『DAVID BYRNE ART EXHIBITION』『ア・ラ・カルト 2』

『DAVID BYRNE ART EXHIBITION』@VACANT

芳名帳のふたり前がおおともっちだった。ニアミス☆ にしても大友さんパワフルですなあ、この日SuperDeluxeでライヴだった筈だけど、リハ前に来たのかな(とか思ってたら突発性難聴(追記:その後「急性低音障害型感音難聴」と判明したそうです)になってしまったそうで、しばらく安静だそうです。おだいじになさってください)。

アーカイヴ作品もよかったですが、新作が断然面白いです。鑑賞時の環境音を自分で作れる!平面作品もすっきりとしたスペースでじっくり観られます。ひとが少ない時間帯に行くのがおすすめ。

1Fがアーカイヴ&ライヴスペース。トーキングヘッズ関連もこちら。『Speaking in Tongues』アナログ盤(ロバート・ラウシェンバーグが手掛けたこれ。CDでも昨年初回生産限定盤で復刻されました)や映画の方の『True Stories』(きゃー)等のアートワーク、関連書籍、映像作品が閲覧出来ます。スクリーン二面にそれぞれ違うものを流しているので、全部観るには結構時間が必要。パスポート制だったしリピートしたいなあ。期間中ライヴやトークショウ等のイヴェントも行われるそうです。

2Fがメイン会場。サウンドインスタレーションと、レンティキュラーズ、写真作品。階段をのぼっていくと、スタッフの方がギターの音を調整し始めました。私が入場した時には他に鑑賞者がいなかったので、リセットしてくれたようです。感謝。これが世界初演の『Guitar Pedal Installation』。これ面白かったー!ご本人が設営にいらしてたそうだけど、これのセッティングをちゃんとやりたかったからなのかも。

1本のギターがいくつくらいかなー…100個以上はあったかな?(追記:96個だそうです)整然と並べられたエフェクターに繋がれています。2つがループ用で、最初に鳴らしたフレーズが延々繰り返されるよう入りっぱなしになっています。エフェクターの前には「WALK ON ME. うえを歩いて。」の文字。踏み放題だー。やっぱりまずはFUZZから踏みますわなあ(笑)。あとはエフェクターの名前を見て適当に(わからん)踏みまくり、だんだん訳の判らん音になる。いやしかしこれラッキーだったわ、ひとが沢山いるとどんどん踏まれて上書きされちゃうもんね。

さて、鑑賞BGMが出来上がりました。結構なノイズになった(笑)。これを聴きつつ平面作品を観るぜー。振り返った位置から時計回りに進みます。

まずは『Blob』シリーズ3点。レンティキュラーズと言うホログラムのような加工が施された写真作品です。1枚に3つのオブジェが収められており、観る角度によって姿を変えるもの。その3つのオブジェってのが、脳とパン、とか、骨とくだもの、みたいな組み合わせなんですね。それが意外にも洗練されたシェイプで、グロテスクさを感じる反面、人間の器官のユニークさにもハッとさせられます。ひとの中身って外科医でもやってない限り見る機会ないものねえ。

『Political Flesh』はオブジェを撮影した写真作品、ブッシュ父子、フセインのビニールマスク。ブッシュにフセインが挟まれた配置になっています。これが3mくらいあるの、デカい。ヤだわー(笑)。フライヤーで紹介されていたゴアのマスクは来てなかったような?

『Corporate Signs』もレンティキュラーズ。いろんな企業(日本の企業もあったよ)の看板文句が、角度を変えれば違う言葉になっています。どれもアイロニカルだなー。でも愛嬌がある。冷笑的な感じではなく、チャームがある。

で、最後に『Bush of Ghosts Reject』シリーズ。『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』アートワークのアウトテイクスをインクジェットプリントしたものです。こちらは一転、ストレートな美しさ。甘いフォーカスの中に濁った影と鮮やかな光、溢れる色。透過光で表示したものを反射光としてプリントしたものなので、モニタを介したかのような画面であり乍ら印刷ならではの風合いが活きている。複製される程に限定感の増す不思議さ。ウォーホール以降の複製芸術のことを考えて、思えばデヴィッド・バーンってまさにそのN.Y.カルチャード真ん中だったわ、と思ったりしました。そういえば1Fには『TVパーティー』のDVDも置かれていた。

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『ア・ラ・カルト 2 〜役者と音楽家のいるレストラン〜』@青山円形劇場

いいリニューアルになってます。以下ネタバレあります。

テーマ曲等は一新。バンドのメンバーには変更がありません。バンドピットが一箇所でなく、ミュージシャンが円形のステージをぐるりと囲むような配置になっていました。林さん以外の3人は曲によって移動、出入りも比較的自由なんだけど、林さんのピアノはAブロック前の入り組んだ位置なのでハケることが出来ず。始まったら演奏がないパートでもそのままピアノの前に座ったまま(笑)、お芝居を楽しんでらっしゃるようでした。

ガッチリしたお芝居はちょっと減ってたかな。日替わりゲストとの即興コーナー(一応台詞は渡されたメニューに書かれているらしい)やフリートークが増えています。高泉さんがホステスだと言うことをしっかりアピール。山本さんや本多さん、レギュラーゲストの中山さんがガッチリ(時々ちょっとたよりなく・笑)彼女をサポートしている。台本はずっと高泉さんが書いていたので、彼女の作品の根底にずっとある“ラ・ヴィータ”は変わりません。

別れがあれば出会いもある、人生は続く、その先がある。

かつて遊◎機械の作品には、崩壊する家族を繋ぎ止めようとするこどもの情景が描かれた。そして家族が壊れても、別れた父親と娘はクリスマスに会う。娘は父親の幸せを願っているが、もう一緒には暮らせないことをドライに受け止めてもいる。そうやって育ったこどもたちは、伴侶と出会い、別れ、その後の人生を生きていく。こうした面が『ア・ラ・カルト2』にはより色濃く出ています。それでも最後には心温まるラストシーンが待っています。

あの女の子は出て来ない。あの老夫婦も出て来ない。でも、タカハシはやってきた。彼が現れた時の、円形の客席に浮かんだハッと言う空気、それに続いた笑顔は忘れられない光景になりそうです。旧友に会ったかのような、客席のひとたちの表情。皆不安だったんだろうな。全く違うものでもいいと思っていたけれど、やっぱり嬉しかった。ノリコさんが出て来ることはないと判っていても。

この日の日替わりゲストは篠井英介さん。篠井さんが年相応の男性の役を演じる方が緊張すると言うと、高泉さんもそうそう、オジサンの役をやる方が楽で!と応え、そうそう、僕もオバサンの役の方が!とひとしきり盛り上がり、是非ちゃんと芝居でやりあいたいわね、と言うような話をしていた。思えば同世代、やってきたフィールドも近い。もう四半世紀以上のつきあいになるのではないかな。こういう会話を聴けたのもなんだか嬉しかった。そういえば篠井さん、この日が誕生日だったんだよね!今後の出演情報についてもだけど、自分のことはホンット話さないよねえ、謙虚な方です。

そしてこの回を選んだのは、そりゃもう篠井さんが絶対ゴージャスドレスでシャンソン唄うだろ〜と思ったからで。当然ですヨ!サド侯爵夫人ばりのウィッグとドレスでサティの「ジュ・トゥ・ヴ(Je te veux)」を唄ってくださいましたよ!「夢に出るぞ〜」とか言って(笑)。客席の男性陣をもてあそんでおりました。ちょっと下ネタをアドリブで入れていたけど篠井さんが唄うと品がなくならない…ウィットに富んでるからカラッと笑って聴ける。いやー素敵でござった、眼福。いいお歳暮を頂いた気分です。

そうそう、アドリブ芝居のところで、「最近は草食系の男が気になるのよ」「例えば誰とか?」「あらた」「…古田?」「ちがっ!ちっがうわよー!何言ってんのよー!」となって爆笑。そんな全力で否定せんでも高泉さん。そしてナイスツッコミ篠井さん。

これがまた20年続くかは判らない。でも、来年も是非観に行きたいです。またあのカンパニーがひとつひとつ積み重ねていくのなら、それを観ていきたい。