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2010年05月15日(土) ■ |
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『ロトチェンコ+ステパーノワ』『シティボーイズのFilm noir』 |
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『ロトチェンコ+ステパーノワ ―ロシア構成主義のまなざし』@東京都庭園美術館
最近ではBunkamura ザ・ミュージアムと言ったところでも展覧会が開催されて、ちっちゃなブームがきているような?ロシア・アヴァンギャルド。混んでてビックリした…バウハウスならともかく、ロシア・アヴァンギャルドファンこんなにいたんだって言う(笑)。8年前の『極東ロシアのモダニズム1918-1928[ロシア・アヴァンギャルドと出会った日本]』は町田市立国際版画美術館でしかやらなかったし、6年前のワタリウムでのロトチェンコ展は全館使う程作品がなく企画展のなかの1セクションって扱いだった(でもこれは工夫のある面白い展示だった!)。いろいろ観られる機会が増えていくのは嬉しいな。
ロシア・アヴァンギャルドと言えば、フランツフェルディナンド『You Could Have It So Much Better』のアートワークの元ネタになったこれとかが有名ですね。
この『「レンギス(国立出版社レニングラード支部)あらゆる知についての書籍」国立出版社レニングラード支部の広告ポスター』も勿論展示。構成主義を代表する作家アレクサンドル・ロトチェンコと、彼のパートナーだったワルワーラ・ステパーノワの作品展です。合わせて約170点。ステパーノワの作品がこれだけ観られる展示ってのは、すごく珍しいのでは。
先日観に行った『ゴーゴー・ミッフィー展』のブルーナさんも影響を受けたキュビズム、未来派との共通性も多いロシア・アヴァンギャルド。20世紀初頭に興った芸術運動ですが、政治と密接に関わっていたこともあり短命でもありました。1917年のロシア革命前後から1930年代のスターリン体制になるくらい迄。ロトチェンコと広告エージェント『マヤコフスキー=ロトチェンコ広告=コンストラクター』を組んだ詩人マヤコフスキーは1930年に自殺。文化革命が進むなか、形式主義者として批判にさらされたロトチェンコは1931年に芸術団体『十月』から除名、1951年にはステパーノワと共にソ連芸術家連盟モスクワ支部からも除名されます(ロトチェンコは1954年、ステパーノワは1958年に会員資格を回復)。そして1956年にロトチェンコが、その2年後の1958年にステパーノワが亡くなります。
多くの芸術家が粛清され作品が散逸していくなか、ロトチェンコとステパーノワの娘ワルワーラとその夫、孫のラヴレンチフは、ふたりの作品を守り続けたそうです。そして1991年にソ連が崩壊。ロシア国立プーシキン美術館とロトチェンコ・ステパーノワ・アーカイヴ所蔵による作品群は、子孫の尽力がなければ目にすることが出来なかったであろうもの。混乱の時代を生き抜いた家族の物語をも観たような気持ちになりました。
シェイプを徹底的に突き詰め、線、面のみの構成に到ったストイックの極みとも言えるロトチェンコの作品と、シンプルであり乍らおおらかで、力強さとチャームが同居するステパーノワの作品はいいコンビに思えました。ロトチェンコが撮った写真の中にいるステパーノワは、どれもいきいきとした素敵な表情をしています。
絵画も初めて観るものが多く楽しかったのですが、やはりテンションが上がったのはポスター群。圧倒的に格好いい。落ち着いたアールデコ様式の庭園美術館内に、強烈な色彩のポスターが並んでいる光景のシュールなこと!印刷物もありましたが、ポスター原画が多数展示されていたのが嬉しかった。印画紙のコラージュに、直接彩色してある一点もの。タイポグラフィも全て手書きです。丁寧にコピーの訳文も付いていましたが、これがもうすっごい直球なの。「当社の株主でなければソ連国民とはいえません」「バターより3倍安い!」「国営デパートで 買え!」てな感じ(笑)。これだけストレートな言葉が並ぶ中、クッキーのパッケージに「招いていようとなかろうと 頼んでいようとなかろうと お客はあなたの家へ かならずやってきます」「パンはひからび バターはネコが舐めちゃった」って書かれているのに大ウケしつつ、かわいいなーと思ったり。アジ広告も多いけど、ユーモアがある。
カタログデザインは服部一成さんと山下ともこさん。装幀内容ともに充実してます、これで2,500円ってかなりおトクだと思う。亀山郁夫さんのテキスト『「でも、私には出口がない」――ウラジーミル・マヤコフスキーとロシア・アヴァンギャルドの悲劇』に、時の流れに抗うことが出来ない個人を思い、だからこそその個人が残した作品たちを記憶に刻み付けておこう、と思いました。
ステパーノワデザインの布地を再現したタオルハンカチ等もあり、グッズもかわいいものが多くて、いろいろむしられて帰ってきました。
売店にみけねこがいました。お店の子と言うより庭園に住んでる子が勝手に出入りとかしてる感じ?(笑)毛とかがびがびなんだけどそこがいい。なでても我関せずなねこらしい姿でたいそうかわいかったです。次回ここに来る時も会えるといいなあ。
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『シティボーイズのFilm noir〜トーク祭り〜』@ゆうぽうとホール
「10月に新国立劇場でお会いしましょう!」
毎年GW恒例の本公演は「諸事情あって」10月だそうです。もうやらないのか、トークイヴェントに移行していっちゃうのか曖昧だったから、まことさん本人の口から聞けてよかったよ。やっぱりほら、皆さん年齢的にね…ここ数年ずっとそんな感じだけど。しかしそこらへん、だんだん本人たちもネタにしてきているのがここ数年の傾向。今回も辞世の句を発表し合ったりしてた(苦笑)。映画の内容も死や人生の後半に関するものが多くて、ゲラゲラ笑いつつ、ひとのはかなさについて実は考えたりもしましたよ。あっけない人生、あっけない命。ちょっとしたことでぽっと消える。
今回は小さな映画祭と言うことで、自分たちで作った短篇映画を4本流してそれについてぐだぐだ喋るイヴェントでした。まあぐだぐだです。ぐだぐだなのにラインナップは結構豪華で、『南極料理人』の沖田修一監督の『俺の切腹』、『東京DOGS』の脚本を書いた福田雄一監督の『マジメくん』、きたろう監督の『ドキュメント中村有志』、まこと監督の『ダーク オン ダーク』が上映されました。音割れも結構あって、何故ゆうぽうとホールで…?と言う感じではありましたが内容はぐだぐだな面白さ。ああ楽しい。
台詞が与えられないトークイヴェントと言う場の中で炸裂するきたろうの無邪気、しげるのサービス精神溢れるこわれっぷり、有志の神経質なダメ男っぷりはなかなか…観られそうで観られないものなので興味深かった。有志の「ここだけの話」と下ネタには観客ドンびき。それを無邪気にどんどん暴くきたろうさん、こえー。
そして普段は傍若無人なきたろうとしげるをひたすらツッコミしっかり進行を務める役なので忘れがちだったまことの狂気が、自身の監督作品に顕著に現れていたのにはたまらんもんがありました。やっぱり一筋縄ではいかないわー。TVとかでは抑えてんだなあって部分が溢れ出てましたよ。怖いひとだなあ、好き好きー。
果たして10月、ふわダンスの完成形は観られるのか?観られないと思います。あー楽しみだー。
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なんだか奇妙なハシゴになって楽しかったです。
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