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2010年05月14日(金)
塚本晋也お蔵出し『TSUKAMOTO COUNT DOWN!』(2000〜2001年)

サービス精神溢れ過ぎで空回りしたイヴェントです(笑)。今回もトライベッカから帰ってきて翌日にはもうトークイヴェントやってるし、間を空けずに全国の試写会に飛び回ってますね。各地の映画館での音調整にも立ち会っているようですし、こういう草の根的なところホント好き。

ちなみにこのイヴェントで娘・黒子役だった(…)黒木久勝さんは、塚本組の助監督/脚本担当として活躍されている方です。『鉄男 TBM』でも書かれてますね。いろいろとイジラれ担当でもあり、かわいがられているようです(笑)。愛すべきスタッフと言えば、ヨコピンの愛称で親しまれていた撮影助手の横山克典さんが有名(?)。『鉄男II』でのゲリラ撮影(渋谷WAVE!)の時カメラを持って逃げる担当だったのに、しっかり逃げ遅れて警備員につかまり、フィルムを没収されたひとです…って、あのシーンをゲリラでやったらそりゃ怒られるだろう。ここらへんの話は『鉄男II』VHSビデオの特典映像『東京の夜』で監督と田口さんが詳しく話されています。『東京の夜』は明日発売の『完全鉄男』で誌面再現されているようです。

トーク中で話題になっている、当時現役だった監督がふたり鬼籍に入られたこともなんだか感慨深いです。塚本監督も50歳。本人言うところの「映画監督としての定年」迄あと10年です。まだまだ沢山撮ってほしいな、60歳過ぎてもね。

****************

2000年12月31日
『TSUKAMOTO COUNT DOWN!』@BOX東中野

●『普通サイズの怪人』
●『鉄男/TETSUO THE IRON MAN』
●年越しそばタイム(その間スクリーンでは紅白歌合戦を上映(SMAP、細川たかしの辺りでした))
●トークイベント((敬称略)塚本晋也、川原伸一、黒木久勝、塩田時敏、藤井かほり、塚本耕司)
●『電柱小僧の冒険』
●『ヒルコ/妖怪ハンター』
●じゃんけんオークション(『ヒルコ』学校のプレート(塚本中学校)、『東京フィスト』ひづるのドレス(デートで食事、「いい嫁入り道具が出来たわ」のシーン)、『BULLET BALLET』B1ポスター(校正用に直接プリントアウトした1点ものにトーク出席者のサインを入れて)、スタッフ私物『双生児』フランス版ポスター(トーク出席者のサインを入れて))
●『BULLET BALLET/バレット・バレエ』

年越しでめっちゃ盛り上がりハイになって記憶もおぼろげ。もっと沢山面白い事あったのに〜!(悔)短いですがその雰囲気をお楽しみ頂ければ…。
かわいい赤のはんてん姿で監督が登場。場内リアクションに困りどよどよと失笑。
「家でいつもこうだから、こうしないと落ち着かなくて。ここは僕の家(って設定)なんですよ…自分の家なのに何説明してんだろ(笑)誰もいないのに(笑)だからここは家なの!(自分に言い聞かせている)」
「家ではずーっとTVの前にいて、リモコンカチャカチャやって、どこがいいかな〜、どこがいいかな〜って」
「でも大体はNHKにしちゃうのね。どっかの寺からの中継とか〜」
つってるうちカウントダウンも間近に。
「えっどうしよう、どこがいい?どこでカウントダウンする?サザン?サザン?あー段取り決めてないのバレバレじゃん!」
「あっ年越しちゃう年越しちゃう!」
…面白すぎます塚本さん。そんなこんなで無事年越し。

客席から「誕生日おめでとうございます!」の声(塚本氏は元日生まれ)
塚:あっ、有難うございます。って、ここ家なのにどっから声が?(笑)背後霊かな。
川:お、お客さんに何て失礼な事を!(フォローに必死、川子こと塚本組の川原助監督。和服にかっぽうぎ姿で塚本氏の妻を熱演(笑)似合う…。後れ毛をなおす仕草が美しすぎます。ゲストにおそばやお酒を運び、背後霊ことお客にも気配りを利かせ、壊れた娘(同じく助監の黒木氏。つりスカートハイソックスみつあみで塚本家の娘・黒子を演じるも自爆気味。現場ではいいムードメーカーだそうです。いいキャラだ…)や傍若無人のダンナのフォローにと良妻賢母振りを発揮。嫁にしたいです)
塚:そうなんですよ〜…厄年なんですよね…もう去年から始まってるみたいで、去年ぎっくり腰になって…。ロケハンに行ってて泊まってた旅館から出て、自転車乗ろうとした途端ギクッて。そのまま出かける事も出来ずに旅館で寝て過ごした。
塩:気を付けた方がいいよ、僕も厄年に酷い目に遭ったもん。飛行機の中でさ、尿管結石になってさ。
藤:ええ〜?あれって凄い痛いんですよね?
塩:すっごい痛いんだよ!映画祭で外国に行った時で、もうすぐ着陸しますからベルトを締めて下さ〜いって時になっちゃってさ、もういてもたってもいられない位痛いのに、ベルトなんてもう!あれは大変だったよ。耕司さんもやったんだよね?
耕:ええ。でもそんなには。大きくなる前に出しちゃったって言うか、動く前に。
塩:中で石が動いちゃうと痛いんだよね。…って、そんな事はいいんですよ。監督も厄払いしないと。
藤:そうですよー、私も厄年は大変だった…。(あっけらかんとオフレコ的な話をサバサバ話す藤井氏。男前…)

塩:石井輝男監督(編注:2005年逝去)も元日生まれなんだよね?
塚:らしいですね。
塩:石井さん、どうだった?(編注:塚本氏は石井監督の遺作となった『盲獣VS一寸法師』で主演)
塚:いやあ、元気でしたよ。若い若い。僕がちっちゃい頃に観た、いとこのお兄ちゃんに連れてって貰って観たあの「きゃーっ、こわーい!おどろおどろしーい!」って言いつつ目が離せなかったあの映画のイメージまんま。まだまだやれるって感じだった。僕、映画監督って仕事を、体力的な面から60歳が定年かなと思ってるんだよね、だとしてあと20年しかないんだよねえ。最近のペースが4年に1本とかになってるから、うーんあと5本かあ〜とか思って…やりたいのはたっくさんあるんだけどなあ…。でもね、石井さんを観てるとまだまだって感じで…。
塩:元気だねえ。
塚:そういえば『この映画がすごい!』の付録DVD見た?あれに『バトル・ロワイヤル』のメイキングが入ってて、深作(欣二)監督(編注:2003年逝去)がバーン!って机ひっくり返してて。「表情が弱〜い!」とかって。で、ビックリしてる子供に「そう、その表情!」って。あれ見てああ、60越えてもいけるかなって…。でもね深作監督って、一緒に中国の映画祭に行ったんだけど、時々ヤバいんじゃないかって思う時があった。
塩:ギラギラしててまだまだ現役じゃあ〜って感じ?
塚:いや、って言うか…あの、
塩:……(!ピーンときた)ああ〜、ヤバいって、ぼ、ボケちゃってるかもって言う意味で。
塚:そうそう。一緒に行動してると、どうも…「あれっ?」って思う瞬間が何度かあって…。パネルディスカッションの時も腕組んでうーむって考えてる様なふりをして、寝てたりしてた。船漕いでた。
全員:(笑)
塚:でもそこで「深作さんどうでしょう」って訊かれると「うーん、それは…」って、話がちゃんと繋がってるの(笑)でもあの『バトル・ロワイヤル』の演出現場を見て、60で定年かあ〜って思ってたけど、まだまだやれるなあと思った。

塩:しかし去年は役者仕事多かったですね。主演もあったし。『サンデイ ドライブ』ね。あれは面白かったなあ。俺キネマ旬報の年間ベストテンに投票したよ。『BULLET BALLET』にも投票したかったんだけど、自分が出てるのは(編注:塩田氏は『BULLET BALLET』に出演している)ダメだって言われて入れられなかった。(『サンデイ ドライブ』の)現場はどうだった?
塚:斎藤監督って、カット数が物凄く少ないんですよ。僕が2000カットくらいだとしたら80カットくらいなの。
全員:ひえー。
(会場中ザワザワどよどよとなる)
塚:その分リハーサルが凄い綿密で。何かやってやろうって気持ちで、いろいろ仕込んで行ってもダメ。ことごとくそれを潰されちゃう。
塩:頭真っ白にされちゃうんだ。
塚:そう。朝集合して夜迄、みっっっちりリハーサル。カメラ回す迄が長い長い。「もういいんじゃないですか」つっても「うーん、もう一回」って、同じ事を何度も繰り返して、何も考えられなくなったって時に「じゃあ本番」。演じるひとを空っぽにして、そこから出てくる何かを撮るひとですね。あれはしんどかった…。出来上がったものを観たら「ああ、そうだったのか」と思ったけど。打ち上げの時に首締めてやりました(笑)

塚:最近何か映画観ました?
全員:観てないなあ(笑)
塚:『ダンサー・イン・ザ・ダーク』観たいんだけどな。
全員:ああ。
塚:『バトル・ロワイヤル』も。
全員:ああ、ああ。
藤:『ホワット・ライズ・ビニーズ』が凄い怖いって聞いたんですけど。
塩:あれは浮気をした男のひとが怖い映画だよ。
藤:話はそうだけど、女友達は観た後ひとりでお風呂場にいるのが怖いって。

その後いろんな話で盛り上がりましたが失念…ごめん〜ごめん〜!DVDの宣伝をして全員退場。ところがマイクが生きていて、袖に引っ込んでから「ダメだこりゃ〜」「失敗だよ〜」て言ってるのが丸聞こえ!場内爆笑でやっと気付いた塚本氏「あっ、やべっマイク!」の後、声は聞こえなくなりました(笑)。