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2010年05月17日(月) ■ |
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塚本晋也お蔵出し『TSUKAMOTO MIDNIGHT!』(2001年) |
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塚本晋也お蔵出し、最終回です。『鉄男III』のプランが二転三転していた頃ですね…“アメリカ映画のふりをした”ってのにかたまりつつある(笑)。監督本人がインタヴューでも話しているように、ハリウッドでのプランは「身体が鉄に変化する」ことに対し明確な理由を求められて大変だったよう。最後には自分たちの手で撮ることにしたとのことですが(配給はアスミックエース)、それでよかったんじゃないかな。不屈のインディー魂、撮りきることが出来て本当によかった。
あと1回おまけがあります。『鉄男 THE BULLET MAN』公開初日前にはアップしたい。
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2001年1月6日 『TSUKAMOTO MIDNIGHT!』@BOX東中野
●『TOKYO FIST/東京フィスト』 ●トークイベント(塚本晋也監督、石井聰亙監督、利重剛監督、川原伸一助監督) ●じゃんけんオークション(『鉄男II』トモロヲが着ていたパジャマ、『BULLET BALLET』鳥の死骸模型、きりなちゃんが使ったカミソリ模型、池袋でのケンカシーンでチーマーと達也さんが使った武器セット一式、塚本氏が何かの映画祭の副賞で貰った時計にその場でサインを入れて(塚本氏曰く「『もういらないや〜』ってあげるんじゃないですよ!大掃除したら出てきたからってあげるんじゃないですよ!」)) ●『フィルムメーカー』 ●甘酒タイム(しょうがつき) ●『鉄男II/TETSUO II BODY HAMMER』 ●『ヒルコ/妖怪ハンター』 ●『電柱小僧の冒険』
塚本組助監督の川原伸一氏が司会進行。今回は「こたつもなく、先週の反省を活かして(笑)ふつーに」(塚本氏)て事で、ビールを飲みながらののんびりしたトークになりました。途中から利重さんがどんどん酔っ払っていきました(笑)。
川:お三方がこういう場で一堂に会するのは初めてだそうですね。 塚:そうですね、こういうトークショーでは初めてですね。僕と石井さん、とか僕と利重さん、石井さんと利重さんって組み合わせはありましたけど…プライベートでは結構あったんですけどね、3人で話すのって。 川:知り合ったきっかけ等を聞かせて貰えますか? 塚:きっかけっても…いつの間にかって言うか。石井さんとは…日芸の先輩後輩で、ってその頃は知り合いでも何でもなくて僕が石井さんのファンだったんですけど。 石:(笑) 塚:石井さんが映画学科4年の時僕が絵画科1年で。その頃にはもう石井さんはバリバリ映画撮ってて、僕は撮ってなかった…て言うか撮りたくても撮れなくって悶々としてて。食堂とかに石井さんがいると友達が「今石井さん来てるぞ!」つって、わーって見に行って「うっわスッゲエ、本物だよお〜」とか言って。あっあとね、僕が学校で電話かけてる時にね、石井さんが横に電話かけに来てね、「今度の映画で車8台とお、バイク何台壊したいんでえ、手配ヨロシク(巻き舌)」とか言ってて!「うわあ、かっけー!」と思ったりしてたんですよ。とまあ、そんな感じです。 石:(笑)そんな風には言ってないよお。
塚:利重さんとも、まあいつの間にか(笑)今度の映画にも出させて頂きました。 利:『クロエ』ですね。メインキャストで出て貰って。カップルが二組いて、永瀬正敏さんとともさかりえさんのカップルと、塚本さんと松田美由紀さんのカップル。 塚:僕は絵本が大好きな、ちょっとキてる役で。でも僕と松田さんのカップルって組み合わせも…。 利:凄いですよね(笑)終盤10分くらい、塚本さんが大暴れする大芝居をノーカット一発撮りでやったんです。塚本さん、最近沢山出てますよね。 塚:はあ。 石:凄いよねー。しかもうまいよねえ。利重さんもだけど…利重さんは自分が監督してるのには出てるっけ? 利:あー、自分のでは、ちょこっと顔出しで、演技もない程度でならあるけど、メインでは…塚本さん良く出来るね。自分で監督やって演技してって、大変ですよ。他の役者に強く言えなくなっちゃいそうで、「その演技はダメだよお」とか。で、自分は「こんくらいでいいや」って(笑)。 塚:あー、座長公演みたいな感じでね。 利:そうそう。 塚:自分は全然稽古しなくって、「うーん、こんなもんだろ」って(笑)自分で監督して自分で出るってのにはあんまり抵抗ないんだけどな…。あっでもさ、人んとこに呼ばれたら自分が監督とか、全然考えないよね。 利:そう!考えない。 塚:よく「人んとこで出演してる時に、現場を監督の目で見てしまう事はありませんか」って質問されるんだけどね、全然そんな事はない! 利:そうそう、映画監督はね、非常にいい役者ですよ(笑)すんごい素直。「どっか悪いとこなかったですか?何でも言って下さい!」(大笑) 塚:(笑)「何でもします!」ってね。ワガママ言わない。監督にとってはいちばん扱いやすい(笑)すごーい、すなおーな。 利:塚本さんにも出て貰ったし、青ちゃんにも出て貰った。 塚:青ちゃんじゃわからないって(笑)青山真治さんですね。 利:そうそう、もうすぐ『EUREKA』が公開になる青山監督。彼もうまかったなー。 塚:そういや利重さん『EUREKA』に出てるよね、バスジャックの犯人。 利:そうなんですよ、お互いね(笑)あと大島さんにも出て貰った事あるけど…。 塚:大島って、大島渚さん? 利:そう。 石・塚:ひぇー。 利:大島渚さんも、すごい素直だった。 塚:石井さん、出ないですか? 石:いや、僕は…(笑)。
利:実はオファーした事あるんですよね、僕石井さんに。でも丁度その頃石井さん『水の中の八月』を撮ってて、現場を離れられないって事で…残念だったなあ。出たら絶対いいですよ。すんごい存在感あるの。観たいなあ。 塚:もうね、石井さんしか考えられない役をやってほしいですね!…あー、石井さんに是非やってほしい役あったんだけど。いいや、ダメになっちゃったから言っちゃえ、ダメになった映画の。 石:ダメになっちゃったの?何の映画? 塚:戦争映画。お金出してくれるってとこがあったからプロットを見せたら、戦争映画はお金かかるからダメだって。 石:あー、塚本さんの戦争映画!観たかったなあ…残念。もうホンは書けてるの? 塚:いや、まだプロットだけ。いつかはやりたいんだけど…最初は兵隊さんがふたりでダラダラ歩いてるだけって話をやりたくて、それなら戦争シーンいらないし大丈夫だと思ってたんだけど、だんだん戦争映画なら戦争のシーンをやっぱり撮りたくなっちゃって。で、その兵隊さんの役を石井さんに。「肉って喰った事あるか?」ってセリフを(笑)「なぁおまえ〜、肉ってぇ、喰った事あるか〜?」(石井氏の声マネで。また過剰なアフレコを活かしてます…本人の前でなんて事を…(笑)) 全員:(笑…っていいのかどうしようかわからない曖昧な雰囲気に…) 塚:フツーの人が言ってもなんて事はないセリフなんですけど、石井さんが言うと味があるんだなー。出演者が全員映画監督とかって面白そうですね、素直な現場(笑)。 利:僕が監督してる時って、現場が楽しいかどうかが凄く大事なんですよ。現場が楽しくやれてるかなって。そこに細心の注意を配るんですけど。しばらく撮れなくてと言うより撮らなくて、敢えて撮らなかったんですけど、いろいろ他の生き方も考えたんですけど(笑)。 石:利重さん朝の顔、朝の顔(笑)。(編注:利重氏はNHK朝の連続テレビ小説『やんちゃくれ』にメインキャストで出演していた) 利:(笑)でもやっぱりね、久し振りに撮ってみて、映画撮るのってなにものにも代え難いって思った。『クロエ』の現場は本当に楽しかったですよ。現場が楽しかったって事は保証付き(笑)。
川:お正月はどう過ごされました? 塚:1日は僕のお父さんとお母さんとこ行ってえ、2日は奥さんのお父さんとお母さんとこ行ってえ、3日は大掃除してえ…何のことはなく、ごくごく普通のつまらないお正月でしたよ。…何でそんな事訊くのよ。 川:いや、映画とか観なかったですか? 塚:映画?…観なかったなあ(笑)お二人は何か観ました?『バトル・ロワイヤル』観ました? 石:いや、まだ観てない。 利:観てないなあ。 塚:あれ、あれ観たいんだけど。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。 石・利:ああ、ああ。観てないなあ。 塚:(笑)利重さん、何か観たのない? 利:うーんとね……『グリンチ』を観た(笑)。 全員:(笑) 利:面白かったですよ。ジム・キャリーがまたね、凄くてね。 塚:そうかー。でもなんでまた『グリンチ』を。 利:年末迄ずーっと『クロエ』の編集やってて、やっと出来たー、やっと終わったー!って感じだったの。その「終わった!」ってのを実感したくて、こう、映画ーッ!て感じの映画を観たくて……あっ!あとね、正月はTSUTAYAで『大空港』を借りて観た! 全員:だ〜いく〜うこ〜う!(爆笑) 塚:なんで!なんで!(大笑) 利:なんか観たくなって!でもねやっぱ面白いんですよ!『大空港』とか『ポセイドンアドベンチャー』とかね!「やあっぱ『タイタニック』より『ポセイドン〜』だろ〜」とか言って! 全員:(爆笑) 塚:あ〜、でも確かに『タイタニック』の、船がこう縦になっちゃって人がきゃあ〜って落ちてくとこ、CGの。あれより『ポセイドン〜』の、スタントマン使って実際に落ちちゃうヤツの方がやっぱいいな〜と思っちゃいますねえ。 利:でもお正月って何か観たくなりません?『大空港』。 全員:なるなるなる! 塚:『大空港』とか、あと『大脱走』! 全員:ああ、ああ、ああ〜!(爆笑) 塚:お正月の夜中、TVで大概やってる。ここに来てる若い人『大脱走』なんて知ってるのかな(笑)スチーヴ・マックイーンがさあ、カッコよくってさあ!くーっ!って。スチーブって言っちゃうとこがまた古いな(笑)。 利:なんだろ、今年TVでやらなかったからビデオ借りちゃったのかな。 塚:条件反射で。 利:そうそう。観ないと落ち着かない(笑)。 塚:しかしお正月にTSUTAYA…地味な(笑)。 石:でもいいよねー、『大脱走』。ダメなヤツとか弱いヤツが逆境に立って、頑張る映画っていいよねー。 塚:あー、スポーツものとかで弱いチームが頑張るヤツとか。『みにくいアヒルの子』みたいなのとか。 全員:(笑) 塚:あれが原点ですよ。『みにくいアヒルの子』大好きでねえ。『電柱小僧の冒険』とかモロにそうですよ。皆にバカにされていじめられてたのに、最後、美しい白鳥になって、ぱあーっと。
利:塚本さん、スポーツ映画は撮らない? 塚:え、スポーツは今やったヤツで…。(トークショーの前に『TOKYO FIST』が上映された) 利:あれはスポーツ映画か!?(笑)石井さんは撮ってみたいスポーツってあります? 石:う〜ん……競歩とか…。 全員:(笑) 塚:それはなんで。 石:マイナーなとこで頑張ってる人を撮りたいんですよ。 川:そういえば石井さん、むかーし時代劇撮りたいって仰ってましたよね。それがこの前の『五条霊戦記』だったんですか? 石:そうです。むかーしから言い続けて、やっと実現しましたよ。 川:そのお話とか、今後の予定を訊きたいんですが。 石:いや、僕の話はいいですよ(笑)今日は塚本さんを盛り上げようと思って来てんですから。 塚:そういう事は最後にまとめて訊きなさいよ。 利:カーリングとかは?(ひとりで話を戻してる) 全員:(笑) 利:カーリングいいじゃないですか。めちゃめちゃマイナーじゃないですか。 塚:ありゃー今ならハイスピードで撮らないとォ! 塚:ハイスピードで、こうスローにしてね!(ジェスチャー) 塚:こうね!(ジェスチャー) 全員:(大笑) 塚:カーリングってあれ難しいの? 利:難しいんじゃないですか?あの、タワシでこするテクニックとか。こうね!(またジェスチャー) 塚:ね!(ジェスチャー) 石:あはははははは!いや、僕は競歩で。 利:なんでそんなに競歩にこだわるんだよう!(酔っ払い)
川:今後の予定などを聞かせて下さい。石井さん、『五条〜』の後は。 石:また永瀬くんと浅野くんに出て貰ってる『ELECTRIC DRAGON 80000V』って言うすん〜ごいバッカらし〜い映画が公開になります。まだハコが決まらないんですけど。 塚:最近は映画館を押さえるのが大変なんですよね。 石:そうそう。 川:いつ公開なんですか?(このボケっぷり…かわいいよ…) 塚:だからまだ決まってないって言ってるでしょ!尺は?どれくらい? 石:1時間ちょいってとこ。6月辺りには何とか公開出来るかなーと思ってるんですけど。(編注:2001年7月にシネマライズで公開) 塚:そっかあ。 石:ばっか〜な、内容ない〜って感じで1時間。 塚:ばっか〜なんですか?(笑)利重さんは『クロエ』ですよね。 利:はい。年内には公開の予定です(編注:結局年内は無理で、2002年6月にシアター・イメージフォーラムで公開)。結構皆さんの評判もいいんで。塚本さん次回は? 塚:いろいろプランはあるんですけど…最近は4年に1本のペースになってるからなあ…。 石:それだけ撮れれば充分ですよ、充分!(このひとが言うと重みが…) 塚:石井さんにそう言って頂けると嬉しいなあ。 利:でも塚本さんっていっっっつも撮ってるよね実は。休んでないんだよね。 塚:そうなんですよ。会社行く様に毎日毎日現場行くって感じでいっつもずっとやってるんですけど…気が付くと2年とか3年とか経ってて。戦争映画はポシャッちゃったしなあ…そろそろ『鉄男III』やるか(笑)。 (会場から「おお〜」とどよめき) 塚:アメリカ映画のふりをした『鉄男III』を。オリジナルなロゴとか作って、ユニバーサルみたいなロゴを。で、アメリカ映画だと思わせるの(笑)。 川:あははははは(ニコニコで困ってる) 塚:最後迄内緒なの。アメリカ映画のふりをしたまま終わるの。説明しないの。で、騙して帰らせる、ってとこかな〜(大笑)。あとは何かあったかな…あっ、DVDが出た。全作品出たから嬉しくて、書斎の机に並べて「えへへ〜」とか言ってる。パッケージ縦に並べて。 石:いいな〜。俺出てないからなあ。(編注:この後2001年4月3日に『五条霊戦記』、同年5月25日に『逆噴射家族』のDVDがリリースされました) 塚:ええっ!?出てないんですか?石井さんなのに…そうですか…DVD出る以前はレンタルビデオ屋さん行って、コーナーがあると「えへへへへ」とかニヤニヤして眺めてたんですけどね。順番に並べ直したりして。で、誰か来たらわっと逃げて、その人が手にとるのを隠れて見てて、「えへへへへ」とかって。で、いなくなるとまた並べ直して。 全員:(大笑) 川:と言う訳で、今日はどうも有難うございました! 全員:有難うございました〜。
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