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2007年11月18日(日) ■ |
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『レインマン』楽日 |
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『レインマン』@PARCO劇場
気付けば3日連続でスズカツさんの芝居を観ている…そりゃレイモンドも自慢しますわなあ(笑)
とてもいい楽日でした!観客が舞台に入り込んでいる様子が伝わってくるかのよう。レイモンドが笑えば笑い、チャーリーが泣けば泣く。レイモンドが「僕は泣かなかった。代わりに雨が降ってた」と言うと、観客が雨になる。リフティング20回を成功させたレイモンドとチャーリーが抱き合うと大拍手。「チャーリー・バビットは許された!」の台詞後にも拍手。
それが全く自然な反応で、いやらしさがない。カーテンコールも自然にスタオベが起こったように思えました。3回のカーテンコール後、終演のアナウンスが流れてもまた自然に拍手がわきおこった。ここ迄橋爪さんはレイモンドのままだったのね。レイのまま挨拶をしていた。4度目のカーテコンコールで4人の出演者が再び舞台に姿を現し、舞台袖からスズカツさんを呼び込んで椎名さんが「スズカツさんです」と言った後、橋爪さんが橋爪さんになって「演出の、鈴木勝秀!」とコールしてくれた。スズカツさんは手を合わせて深くお辞儀をした後、自分の立ち位置をどうしようかとオロオロしていた(笑)そんでレインマンのスタッフパーカーみたいなの着てたのね、背中にタイトルロゴが入ってる。それを皆に見せて!みたく椎名さんに身体をぐるぐる回されて、されるがままになっていたよ(大ウケ)あ、あいされてる!
まあそんな素敵な楽日でですね…それだけ観客をひっぱりこむ舞台だった。レイの、チャーリーの心情が橋爪さんと椎名さんの身体から浮かび上がるようだった。話の展開はかなり早いんです。映画はロードムービーでもあった訳だし、移動も多く、場面転換も多い。感情の動きも激しい。リフティングで湧いた客席が、数十秒後に凍り付く。それが無理矢理ではない。
チャーリーに「『俺はおまえなんか愛しちゃいなかった』と言う親父からのラストメッセージ」だと言われたレイモンドは、しかし違うメッセージを持ってくる。それは「おとうさんはおまえを愛していた」と言うこと。誤解をひとつひとつ、決して意図的ではなく解いていく。火傷を負わせたのは自分であること、「おとうさんはそういうひとだった」と言うこと。遺言通りであれば、レイモンドとチャーリーは一生会うことはなかった。あの時部屋にレイモンドが入ってこなければ、チャーリーは一生父親を憎んだままだった。
ちょっとした偶然。神を信じたくなる。時にはそういうことがあっていいじゃないか。
是非、スタンダードに。スタンダードであり乍ら、常にアップデートして、またの再演、期待しています。
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