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kai
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2006年06月09日(金) ■ |
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『散歩する侵略者』 |
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G-up presents vol.4『散歩する侵略者』@新宿スペース107
実は今月は赤堀雅秋月間なのです、こっそり。こっそりかい。まずは演出のこれから拝見。
んがっ。
脚本が…脚本がもんのすごく面白かった……。
うわーこの前川知大さんて誰ーーーーー!!!!!(んな失礼な)すみません知りませんでしたーーーーー!!!!!(土下座)他の作品も観たい、観てみたい!
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あんたはそれを奪うのか。奪われたものは学習しなおせない、二度と手に出来ない。
概念を奪いに来た彼等は、宇宙人と言う概念をももらっている。概念をもらってもそれを理解する、と言う概念がないように思える。言葉は意味を持たない。でも言葉に意味を持たせないと存在を確かめられない。
私の席からは、最後の概念を奪われた時の鳴海の顔は見えなかった。どんな表情をしていたのかな。見たくもあり、見たくなくもあり。鳴海の顔を見ている真治の表情は見えた。あれは鏡のようなものかも知れない。真治の目尻には涙が浮いていた。
SF的な要素はありましたが、赤堀さんの書くものとタイプが似ているように思えた。似ていると言うか、同じ方向を見ていると言うか。生活圏で静かに起こる異常な状況。でも日常はいつも通りに進む。生活は続くが外堀はどんどん埋まる。事態はどんどん悪い方向へ進む。解決策は見付からない。それでも妙に前向き。で、その前向きすら数秒後に瓦解しそうなギリギリ感。それでも前向きなところで終わる。
戦争を扱っているのも被ったな、と言う感じ(『散歩する侵略者』の初演は『恋の片道切符』より前)。悪い意味でなく。それに感じ入るものがある時期ってことかな。
共存しようとする存在(長谷部ね)がいるところも丁寧だな…。
そして不在の存在。両方の家の母親は家の中から姿を現さず、父親は全く話には出てこない=不在(死?)。こういう細かい部分迄、とても丁寧に埋めてあった。
赤堀さんの演出舞台を観るのは2本目で、はい初心者なのですが、このラウドラウドラウド!なやりとりは狙ってのことなのか。『恋の片道切符』ではそんなことなかったからなあ。スペース107は名前通り客席数107の劇場なのですが(確かそうだったと)まるでキャパ500くらいに対する声量でした。もううざっ!!と神経を逆撫でられることこの上ない。特に顕作さんね!うざっ!!って役なのよこれがまた(笑)
美術は徹底的にちょダサで、それがまたすごく生活感を滲ませている。桜井んちに干してある洗濯物の、女性ものの下着がベージュ色だったり。明日美は概念を奪われてからファッションががらっと変わるんだけど、後半のウッドストックのトレーナーなんてよく見付けてきたな!てなダサ具合。こういうこまかーい拘りが面白かった。鳴海がきぬさやのすじをとったり牛乳パックをリサイクル用にはさみで切っている行動、これ卜書きにあるものなのかな、演出なのかな。鳴海はきっちりとした生活者だ。彼女は最後、愛と言う概念を失くしたことで、生活者であることも失ったように思える幕切れだった。
おえー面白かったよー。今後は前川さんの劇団イキウメもチェックしてみるよ!
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