I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME
|
|
2006年01月14日(土) ■ |
|
『贋作・罪と罰』+うわー |
|
NODA・MAP『贋作・罪と罰』@シアターコクーン
えー主観で書きますよ。
NODA・MAPでいちばん再演してほしかった作品。しかしこれ、さ、再演の方がいいかも…いいって言うか…戯曲の主題がガッツリ伝わっているのは今回の方かも。こういうことはなかなかない。いい再演だと思う。幸福な再演かは判らない。これが現在に見事に合致している、と言うことは、現在はかなりドン詰まりだと言うことだ。『パンドラの鐘』→『オイル』→今回の再演の流れはかなり重い。
初演のことはよく憶えている。地下鉄サリン事件後と言うタイミングもあり、「正しい思想に基づいての殺人は罪か」と言う主題はいろいろと取り沙汰された。正しい思想と言うのは勿論主観的なものだ。その主観を、誰でも納得出来るようにすることは可能なのか。
演出が大きく変わっている。あんな幕開きは、野田演出ではとても珍しい。閉塞感をこんなに感じることも珍しい。あの幕開きの15分間が、英の主観を客席に提示するものだ。初演のような軽やかさはない。照明も全体的に暗め。効果音の使い方も、基本的なところは初演から受け継いでいるが、それを意識的に見せるか見せないかの違いは大きい。遊戯性は極力減らしてある。
とは言うものの。『オイル』では「どうすればいい?」「どうにもならない」と考えながら帰途に着いた。しかし今回はちょっと救いがあった。それを今後に反映出来るだろうか?
反映出来たとしても、その救いは時と場合によっては無効になる。それでも救いを求めたいとひとが思えるうちはまだいいのかも知れない。
出演陣はもうすっばらしいです。NODA・MAP二度目の松さん。彼女は野田作品では比較的新しいタイプのひとだ。ストーリーの重さを背負い込める。ここ数年野田さんは、書く主題に近代の戦争や政治的なものを意識的に盛り込んでいるが、それを体現出来る貴重な役者さんだと思う。声の特徴も大きい。これ迄の野田さんの作品で、ああいう声(終盤の叫び声)出すひとっていなかったと思う。役者=超人とはよく言ったものだ。
しかし単純に、あの声を毎日出し続けていて、嗄れてないってのは凄いよ…勿論ケアしてるんだろうけど、本来の喉の強さもあるのでは。きちんと通るし、滑舌も素晴らしい。
そんで古田さんがやはり素晴らしく。このひとの出る舞台、いつも終演後に「何であんなに格好いいんだよ…」「××××なのに…」「○○○○なのに…」って話すんだけど(笑)このひとは本当に舞台で観ないと、と言うひとだ。舞台観てないひとは何で格好いいって言われるか判らないだろうな…いやホントにこればっかりは。そしてストーリーに恋愛(敢えて今回恋愛と言う!)が絡むとも〜光る光る。
あとまことさんがいいですよ、お楽しみに(誰に言ってる)。小松さんもいいですよー。ただこのひとに関してはちょっと勿体ないかも。前回出る迄野田作品とは無縁だったとは思えない程の身体能力と言うか…佇まいなので。あと宇梶さんは破滅的なとこはすんごい良かったけど、台詞が聞き取りづらい。これは残念!段田さんは流石でした。あと美波さんがよかった!他のひとも皆いいですが!
初演も良かったんだけど…好きだったんだけど…今回の再演は本当にいい。いいと思います。
****************
■で・たー!!! ウワサはちらちら伝わって来てましたが、発表になりました。 +++++ 『白夜の女騎士(ワルキューレ)』 2006年5月7日(日)〜5月30日(火) 会場:シアターコクーン 作:野田秀樹 演出:蜷川幸雄 出演: 松本潤、鈴木杏、勝村政信、杉本哲太、山口紗弥加、持田真樹、濱田マリ、高橋洋、たかお鷹、立石凉子、六平直政 他 +++++ 『エレンディラ』の前にこれがあったか!そしてタイタスに高橋くんが出ないかも…ってのはこれがあったからか。松本くんの力量は判断材料を持っていないのであれですが、他のキャストは個人的にはかなり楽しみです。問題はチケットを確保出来るかどうかだな…。 しかしこれ、当時野田さん本人も演出大変だったって言ってませんでしたっけ(笑)蜷川さんはどう料理するかな?
|
|