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2004年02月28日(土)
タ・マニネ『ワニを素手でつかまえる方法』

タ・マニネ『ワニを素手でつかまえる方法』@PARCO劇場

ひとは誰でも時間に縛られている。場所にも縛られている。そこから抜け出すか、とどまるか。動いた場合、それは前向きか、後ろ向きか。好転するか、ドン詰まりか。以下ネタバレしてます。

岩松さんの舞台には、必ず隠されているシーンがある。舞台上に姿を現さない、もしくは装置に遮られて見えない(階段を使うことが多い)女と、観客から見える位置に立つ男の会話。不可視の情景は、居心地が悪い。そこにいるのが分かっているのに、何をしているか、どんな表情でその台詞を喋っているのかが目に出来ない。表情から真意を窺うと言うことが出来ない。不安がかきたてられる。

そして、舞台上で起こらないこと=舞台の外で起こっていることに拘束される登場人物がいる。舞台上に出て来ない人物に縛られる。今回はそれは、主人公が殺した男、ヤクザの組長の娘、小説家と浮気をしているホテル従業員の妻、売春婦の母親の承諾無しに息子が養子縁組を決めたアメリカ人夫婦。会話の中にしか現れない彼らは、会話の中からしか窺えない波風をたて、直接は手をくださないのに、その相手を徹底的に破綻させる。

絶対心地よくは観られない芝居。笑うことにしても居心地が悪い。バツが悪い。どうしようもなくむず痒い。そこがいい。岩松さんの舞台を観ている時は、「自分ってマゾかもなあ」と思う(笑)。

ひとくせもふたくせもある役者陣がまたハマるんだよね!揺らぎの男・小林薫さん、壊れゆく女・片桐はいりさんがやっぱすごかった。緒川たまきさんも、時々見せるファナティックな面が怖くてよかったなあ。徳井優さんも切なかった。待つしかないって消耗するよ。

それにしても荒川良々くんが…(笑)岩松作品でこんなにシュールな展開って、最近のものでは珍しい。これは良々くんがいたからこそなんじゃないかと…当て書き?ストレートに解釈すれば、組長の娘さんが好きで好きで、娘さんが好きなものは自分も好き、娘さんが好きなもの(=ワニ)になりたいなと思ううち本当にワニになってしまう。うっわーすっごい純じゃん!この一見穏やかなふりして実は底はドロドロ(そしてそれを清々しいルックスのままで見せ切ってしまうとこが岩松さんのすごいとこだと思う)の話の中で、唯一の清涼剤!泣きそうになりましたよ…ワニになっちゃったのに…。

いやあ、しっかし田中哲司さんは格好いいね〜。ああいう悪意のひと(笑)で色気が出せるのが素敵です。『セカンド・ハンド』あたりを思い出した。

そうそう、薫さんと哲司さん宛に、大森くんから花が届いていました。哲司さん宛の花が、真っ赤なバラとカーネーションを組み合わせたものですっごい綺麗だった!かっこええ〜、哲司さんに持ってもらいたい!大森くん本人が見立てた訳ではないだろうけど、ちょっと嬉しくなっちゃった。

あ、それから、タイトルのことは何ひとつ教えてくれません。ワニを素手でつかまえる方法なんてわかりませんでした(笑)

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■あったり〜
あの後気になって調べてみたら、携帯(FOMAだった)CMの音楽、イシイくんだった。小西康陽さんバージョンもあったらしい、こっちはオンエア終わっちゃったのかな、聴いてみたかった〜
「FOMA 900i featuring Kyoko Hasegawa and Ken Ishii」(TOP>CM Library>900i デコメール篇)

■大丈夫だよ!
俊太郎が「ケガが治ってない頃に撮ったんで、コルセットがチラチラ見えているのが気になる」と書いていたのでドキドキしつつ、AUTO PILOT「C-C-C」のビデオクリップ初見。大丈夫だよ、素人目にはわかんないよ!いやあ、大事に到らなくてホントよかったよね…

■げ〜!
フジロック、今年は7月30日〜8月1日。それはいい。それはいいんだ。問題は、今回チケット発売が3日間通し券のみってとこだよ!ちょっとそれは……き、厳しい!(泣)