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2003年04月27日(日) ■ |
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『太陽の雫』 |
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『太陽の雫』@三軒茶屋シネマ
発売されたばかりのDVDで観ようかな〜と思っていたのだけど、3時間と言う長さにちょっと尻込みしてまして。長い作品って家で観ると集中力が切れがちなので、映画館で観たかったのです。そんなところに再上映のお知らせが!願ったり叶ったりですよ!も〜遠足気分で前日には映画にちなんだハンガリーワイン(明治屋銀座店と玉川店で購入出来ます(笑))も購入(どうすんだ呑めんのに…)、当日も予定より早く目が覚める始末です。しょ、小学生魂…。
以下バリバリネタバレしてますのでご注意を。
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いやーっ、すごく面白かった!3時間が全然長くない!20世紀初頭から100年、ハンガリーに暮らし、ふたつの世界大戦を経たユダヤ人・ゾネンシャイン一族の物語。
三軒茶屋シネマってとても古い映画館で(そこがいい味出してます)椅子もギッシギシだったりするんですが、全くそんなこと気にならなかったわ〜。大河ドラマとかだったら1年かけてやるような内容ですよ。それを3時間でやってしまう訳で、展開が早い!「え、どうなんの?」「ええ、それからそれから!?」と身を乗り出して観てしまいましたよ…。それなのに実に丁寧、細やかにストーリーが描かれている(まあすんごい波乱バンジョーかき鳴らし唄い狂う(ホントは「唄い来る」だってのは知ってますよ!)って感じでしたが)。脚本のまとめ方がうっまい!んだと思います。一族三世代の男たちを全てファインズが演じると言う、死んでも死んでもレイフ・ファインズ(笑)な展開もスムーズで混乱しない。
これはファインズの演じ分けが絶妙と言うのもあります。終戦後イヴァンが家に帰ってきた時とか、ドアが開いたらまたファインズが!って感じなんだけど、この時の表情がねえ、ほんっと子供のような泣き顔だったんですよ。イヴァンの父親・アダムのような毅然とした出で立ちはかけらもない。父親が目の前で拷問され、殺されるのを見ているしかなかったイヴァンの無力感がその表情には溢れていました。これはつらかった…アダムが凍らされていくところも悲しかったけど、このイヴァンの泣き顔の方が個人的にはキたな。
終盤、イヴァンは「実のところ、ワイン調合法のメモなどなかったのだ」とナレーションしますが、これは彼等一族の人生のことを言っているようにも聞こえました。イグナツの改姓にしても、アダムの改宗にしても、よりよい道であった筈のそれが、結局は彼等の地位を、命を奪ってしまったりする。
動乱続きのハンガリー。オーストリアとの二重君主制から共産政権、スターリンによる独裁政治の余波。数年毎に主義が移り変わる国で生きる彼等の決断が、どんな誇りのもとに下されたものだとしても、歴史と言う大きな波は彼等を簡単に飲み込んでしまう。そんな人生を生き抜くレシピなんて、メモがあっても役に立つだろうか?
それでも彼等は、自分が選んだ道を後悔していないように見えたのです。祖父イグナツが捨てたユダヤ名・ゾネンシャイン姓を名乗ることにしたイヴァンが、清々しい顔で役場を出て街を行くラストシーンには素直に感動。「それでも人生は美しい」。鑑賞後の充実感がすっごくありました。映画館を出て、駅迄の足どりが軽かった。観てよかった。
そうそう、ハンガリーの季節感を美しく切り取るカメラワークも素晴らしかったです。
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ちなみに一族の柱〜イグナツの妻、アダムの母、イヴァンの祖母〜ヴァレリーはふたりの女優さんが演じており、このふたり(青年期/ジェニファー・エール、晩年期/ローズマリー・ハリス)が実の親子だってのも効果的。最初ふたりが入れ替わったの、気付きませんでしたもん。エールが老けメイクしてるのかな〜とか思っていて、観終わった後パンフレット読んで驚きました。いやー、それにしても女が強かったね。ゾネンシャインの男は皆押し切られてますよ!(笑)
『スパイダー』にも出ていたジョン・ネヴィル、『クラッシュ』のデボラ・カール・アンガー(ミドルネーム?入れるようにしたんだね)と、偶然でしょうがクローネンバーグ絡みなキャスティングも面白かった。あとイグナツの父親が結婚出来なかった女性の名前がサラだったり…『ことの終わり』で、ファインズ演じるモーリスと恋に落ち、その愛を命を賭けて全うする女性もサラ。で、サラは聖書にも出てくる、神との約束を固く守る女性の名前でもあったりするのです。ファインズ祭りの効果もあってここらへんも楽しめました。
ファインズの選ぶ作品が偶然そうなのか、そういう作品にファインズが惹かれるのか、彼が出演する作品には宗教的な側面が描かれているものが多い気がします。『ベイビー・オブ・マコン』も、『オスカーとルシンダ』(これかなりキてるんで後日じっくり感想書こうかと…)もそうだったなあ。神と言う存在は信じているけど、宗教的なこと迄は深く考えないようにしている(これは意図的なんですが)自分からすれば、興味深いところです。お国柄の違いもあるかもしれませんが。
あと以前から気になっていたのですが、このひと本来は左利きなのかなーと。ちょっとした仕草に名残を感じていたのですが(自分が左利きを矯正されたので気になる)フェンシングで利き腕をコンバートするシーンがありましたね。これ演技なのかな、地なのかな。演技だとしたら凄いです。
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さて最後に。これ言ってみよう!真面目に終わろうかと思ったけど言わずにおれん。
■くまのぬいぐるみ持ったまま泣いたりするな!女々しいを通り越してかわいいんじゃ!(一代目・イグナツ) ■婚約者がいる女性の家の下に楽士を連れてきて演奏させてアタックするその強引さが最早かわいいぞ!(二代目・アダム) ■そこでシャワー浴びるのはいいとして(ああもういいさ!)何故全裸のままで上司の説教を聞くの!(三代目・イヴァン)
いやそれくらい怖い上司だったのかも知れないですがね。でも全裸のままで話を聞くのも失礼と言うものでは…どうなんだそこ!
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