初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2002年04月09日(火)
いちばん安心してチケットをとれる演出家

は、鈴木裕美さん。3割打者との例えは言い得て妙だと思いました。

鈴木勝秀さんや蜷川幸雄さんは勿論好きな演出家だけど、こちらはデカい賭に出る事も多いので初日開く迄ヒヤヒヤします。開いてもヒヤヒヤします(笑)当たると凄いんだけど。

裕美さんの演出は、ご本人が建築科出身だからついたんでしょうか、建築型と言われる事が多い。今や職人の域に達している、ガッチリ組んだセットにラウドな役者達。一時これが批判されていましたが、「芝居に限らず日常生活においても、声の大きいもんには皆振り向くでしょう」と至極納得なご回答。脚本の肝を明快に掴むし、その伝え方がいつも真摯。

それでいて柔軟。小劇場からミュージカル、新劇と何でもござれ。これは伝えたい事が自分ではっきり解っているからだろうな。裕美さん演出で初めて演劇を観た子供は幸せだと思うなあ。芝居がこんなに面白いもんなんだって所からスタート出来るからなあ。

あと、役者のそれまでのイメージを壊すのが巧い。エキセントリックな役どころが多かった吉田朝さんや大倉孝二くんが違和感なく恋愛ものや家族ものに治まっていた時は驚いたし、新鮮だったし、しかもそれが面白かった。そういう意味ではかなり大きい賭も仕掛けているんですが、裕美さんの場合はそれに絶対勝つんだな。格好いい演出家です。

なんて事をふと思い出したのは、『OUT』をまた読んだから。これをよくもまあ舞台に上げて、あれだけ面白いもんにしたよなあ。これは脚本・飯島早苗さんの原作咀嚼力もデカいけど。また再演してくんないかなー。と、この前観たばかりなのに思ってしまったり。…映画、どうなるんだろう。

そういえば『OUT』といい『模倣犯』といい楽しみな映画化が続くのですが、宮部みゆきさんの『火車』の映画化の話ってどうなったんだろう。これはほんっとに原作が面白かった!そして怖かった!読んでた時期も悪かった!仕事なかった頃だったもんで…これ読んだらもう恐ろしくて借金なんぞ出来ませんよ。つうかいい時期に読んだなあ(笑)おかげで今は何とかやってます…。