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2001年10月07日(日)
『スカートの奥で』って

邦題、レンタルする時もうドキドキですよ!エロビデオ借りる男子の気持ちが少しわかった…でも最近はパッケージ現物をレジに持って行かなくていいから少しは気が楽だね…それを考慮しての事なんですかTSUTAYAさん。

そんな訳でハビエル・バルデムさん祭りを続行中。今回は『スカートの奥で』(『ENTRE LAS PIERNAS』1998年、スペイン)。邦題もそうだがジャンルが“スペイン映画・エロティックサスペンス”だったもんだからさぞやムンムンな…と思ってみたら全然そうでもなく。何だよいい話じゃん!ミステリとしても面白い出来でした。

映画の脚本家のハビエル(今回役名もハビエル)とラジオ番組の電話オペレーターをしているミランダは、性的嗜好に偏りがあるひとが治療の為に集まる会に参加して出会う。その“嗜好の偏り”ってのは、娼婦じゃないとダメだとか、男じゃないとダメだとかそういう感じなんだけど、ハビエルの場合はやりたくて仕方がない、ミランダの場合はやってもやっても感じないと言う、正反対の立場。その会の帰り道にハビエルはミランダを駐車場の放置車に連れ込んで…となりそになったがミランダは逃げ出してしまう。が、後日その放置車のトランクから死体が見付かり、その事件を担当する刑事が、ミランダの夫フェリックス。死体の身元が割れ、その人物は脚本家志望でハビエルの事務所に何度も脚本を送りつけていた事実が明るみに出るにつれハビエルに殺人の容疑がかかるようになって…。

ストーリーとしては結構入り組んでいて、人物関係や小道具がぽんぽん出てくる。アイテムの説明はそれぞれのシーンできちんと説明してくれるので混乱はしない、ここら辺は親切で助かりますよ!しばらくそれらの項目を置いておいて他の話が進み、忘れた頃にまた出てくる。序盤はハビエルとミランダのラヴストーリー?と思いつつ観ていたが、ハビエルがセックス依存症になった原因の出来事が録音されたテープが業界に出回ったり、フェリックスの同僚が、愛人と逃げた妻を射殺して逃亡したりで、話のピースがどんどん増える。おいおい何を追えばいいんだ?と思っていた一見バラバラなピースがピタリと額にハマッたラストの「えええ〜?」と言う爽快感は良く出来たミステリのそれで非常に面白かった。

話が進むにつれハビエルの孤独感が段々強く現れて、その“ひとりではいれない”感が何て事はない表情とかにじんわり出ていて妙な説得力があった。ハビエルだけでなく、登場人物それぞれのやりきれない気持ちが、そこここにじんわり滲み出ているので、犯人があんただったんか!と解ってもあんまりイヤな気分にはならないと言うか。

最後の、スキー合宿から帰ってくる子供を迎えるフェリックスの表情が印象的。ハビエルの「俺を見捨てないで」ってセリフも痛くて涙じわ〜。ハビエルもミランダもこれから不安いっぱい!な感じで「が、がんばれ!ふたりとも!」と思わず拳を握ってしまう終わり方でした。

監督のマヌエル・ゴメス・ペレイラとバルデムさんは『電話でアモーレ』でも組んでいるのでこっちも面白そうだな。でも近所のビデオ屋に見当たらないんだよなあ。そして「ありますか?」って店員さんに聞くのが非常に躊躇われるこの邦題…恥ずかしいだ〜!

そういや最後にあるどんでん返しで「えっそうだったの!?」てな箇所があり思わずビデオを巻き戻して再確認。えええ〜あんた…そうだったんや…。そこでふと気付く、これからの上映で楽しみに待っている『メメント』、きっと全編こんな感じなんだわ〜。私の記憶力で追いつけるかどうか不安になってきた。今の時点からリピートしそうな予感でいっぱいだ…。