鮭の産卵の絵本を見た小さいYは、 お母さんもお産をしたら死んでしまうのか?と聞く。
いや死なないと思いますよ、と答える。
「と思います」が余計なのだが、絶対に命を落とさないとは言えない。 そうは思っていないからだ。
別段、ここで死んでもいいと思っているわけではないが、 出産というのは命がけで命を産むという本質があるから尊いので、 それが判らなくなるほど「安全・確実」の彼岸へ行く気はない。
*
身篭る母をもつ三歳児は、喜びと不安が入り混じっていじらしい。 ナーバスな気持ちは、今週の頭から、ついに発熱となって現れた。
真っ赤な顔をして、身体を熱で火照らせて、お母さんがいいお母さんがいい!と、うわごとのように叫んでいる。
その身体に寄り添って、はいはい大丈夫、と答える。
命を迎えることと見送ることは、同じぐらいのインパクトがある。 とりわけ、森羅万象をありのままに受け止める小さい子どもにあってはなおさらだ。
2010年12月15日(水) 大所高所大将 2008年12月15日(月) 藪と泉 その2 2007年12月15日(土) クリスマスの真実 2006年12月15日(金) 失敗 2005年12月15日(木) 南へ北へ 2004年12月15日(水) 追って狂気の沙汰を待て
|