朝のNHKラジオに耳をとめる。
国と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故収束に向けた工程表の今回の見直しで、原子炉の冷却が着実に進み、放射性物質の放出量も1か月前の半分に減ったとしたうえで、原子炉の「冷温停止状態」を目指す「ステップ2」の達成時期を、「年内」に前倒しする計画を明記することになりました。 これは国と東京電力が17日に発表する福島第一原発の事故の収束に向けた工程表の見直しで明らかにします。 今回の見直しでは、1号機から3号機の原子炉周辺の温度がいずれも100度を下回ったことに加え、外へ放出される放射性物質の量も、最新の調査で1時間当たりおよそ1億ベクレルと推定し、1か月前の半分程度に減ったと評価しています。
というニュースだ。
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昨日の新聞。
東京海洋大のチームは15日、福島県いわき市の沿岸で今年7月に採取したプランクトンから高濃度の放射性セシウムを検出したとする調査結果を発表した。東京電力福島第1原発事故の放射性物質が取り込まれたとみられ、プランクトンを餌とする魚類への影響が懸念される。石丸隆教授は「食物連鎖で魚にどのように濃縮されるか分からないので継続的な調査が必要だ」と話す。
チームは7月上旬、いわき市の沿岸から60キロ沖までを航海し、プランクトンや小型の底生生物を採取。検出したセシウムは、沿岸近くのプランクトンが最高で1キロ当たり669ベクレルと高く、沖合10キロでは同6ベクレルと低くなった。また底生生物のクモヒトデからは同137ベクレルを検出。底生生物は海底にたまった放射性物質を取り込むため、今後濃度が高くなる恐れがあるという。
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得意そうに工程表の進捗を報告しているが、ちょっと待てと思う。
一時間あたり一億ベクレル。 それほどの放射性物質が、未だに放出されている。 そして、それらは山に、里に、海に確実に蓄積されている。
文部科学省がノロノロと汚染地図を公表しているが、 ここ長野県も含めて、東日本は回復することのない汚れた国土になってしまっていることがわかる。
海底のプランクトンに確認されたセシウムは、生物濃縮され、 いずれヒトの体内に入るだろう。
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思えば、3月12日の事故直後の所感は、何も変わっていない。
私たちの環境はすっかり変わってしまった。 取り返しのつかない大異変が、生じたのだ。
この日常は、それでもただまだ我々が生きている、という、 弱々しくさえない現実があるだけのことなのだ。
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ガンの発症、知能の低下、生殖能力の低下、これらに伴う社会の劣化。
既に発症しているこれらの事象がさらに顕著になり、 私たちはそれが回復不能であることを納得し、 対処療法を重ね、これまでの文化や文明は過去の人間の成果とあきらめながら、 人間社会としての外郭だけを保っていくのだろう。
2010年10月17日(日) 救出劇と国家 2005年10月17日(月) 参拝される日 2004年10月17日(日)
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