2011年06月16日(木) |
東日本大震災 面子とプライド |
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、市民や自治体の間で独自に放射線量を測る動きが広がるなか、東京都は現状を詳しく把握するため、15日から都内100か所を対象に放射線量の計測を始めた。これまで新宿区にあるモニタリングポストで放射線量を計測し、公表してきたが、市民などが各地で独自に測ったところ、都が公表した値を上回る結果が出たことから、現状を詳しく把握しようと15日から合わせて100か所を対象に計測を始めた、というニュース。
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千葉県境から奥多摩まで東西に長い東京都内で、 計測ヶ所がたったの一ヶ所とは、そもそもお粗末である。
東京都民は馬鹿ではない。 身を守るために必要ならば、ガイガーカウンターの1台ぐらい買うのである。
都が慌てて対応したのがよくわかる。
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けれども、不思議に思う。 東京都は環境先進自治体で、環境確保条例というとても厳しい条例がある。 市民の動きに後押しされる前に、どうしてもっと積極的にやらなかったのだろう。
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そう自問し、また思った。
行政は監督省庁だから、人を監視したり指導するのは得意だが、 前例のない課題に対して、自発的に動く習慣がないのだろう。 その行動原理は「面子」なのである。
面子がつぶれることはやらない、面子が立たないからやる、 それで組織の秩序は保たれる。今まではそうだった。
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自分で線量計を買う、放射性物質について勉強する、 そうした市民の行動原理は、様々な立場があるだろうが、 共通するのは、個人に立脚した「プライド」だと思う。
親として、地域住民として、「健康で文化的な生活」を保障された一個人として。 もちろん、東北の人々の行動原理も同じだ。
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都の職員の中にも、個人的に線量計を買った人がいるかもしれない。 あるいは職場へ問題提起した人もあるだろう。
いち公務員としてのプライドをかけるような人がいたらよいと思う。 この非常時に、面子は下手な化粧のように何の役にも立たない。
2010年06月16日(水) 実家という名の魔境 2006年06月16日(金)
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