ぎりぎりセーフのひな祭り、である。 居間の雑物をせっせと移動し、スペースを確保。
赤い毛氈を敷いて、押入れからうやうやしく桐の箱を出してきて、 例によってもったいぶってお人形を取り出す。
Aにはもう馴染みの作業である。 小さいYは、口をポカンとあけて眺めている。
最近の作家がこしらえた、焼き物のほのぼのとした人形もあわせて飾る。
*
白い花瓶に水を張って、桃の花を生けて、 雛あられと菱餅を添える。
ああよかった、なんとか今年も登場願えた。
心に余裕がない時だからこそ、 心に余裕がないとできないものにふれたい。
余裕の資金繰りに窮しながらやりとげられたのは、 子どもに無言で背中を押されたに他ならない。
子どもの欲求は、豊かさの源泉だ。
*
花冷えの夕刻、小さいYを膝に乗せながら、Aの歌を聴きながら、 おだやかな顔の日本人形を眺める自分は、幸せ者だと思う。
2009年03月02日(月) 卵の作家と、大統領の壁 2006年03月02日(木) 高村光太郎の後ろ道 2005年03月02日(水) 危険4点セット 2004年03月02日(火) 保育士による景気動向指数
|