山の家へ、畑の様子を見に行く。
小さいYは、おじいちゃんはどこにいるのかと尋ねる。 おじいちゃんはね、今日はいないんだよと説明しても、何度も何度も尋ねる。
春ゼミがジーワジーワと鳴いている。 沢の水が、ドボドボと音を立てて流れ落ちる。
猫の額ほどのジャガイモ畑の草を、Aと二人でせっせと抜く。 母が花壇にしていた頃の名残か、変な園芸品種の草が、 畑の脇で、場違いに鮮やかな花を咲かせている。
おばあちゃんの花だね、とAが言う。
*
山の家はいまや、父や母ではなく、私達のペースで動いている。 母の趣味の調度品や、父の土産である異国の置物にかわり、 子どもの靴や服やおもちゃや落書きが存在感を増してきている。
自分が子どもとして居る場所から、親として居る場所として、 少しずつ、空気が入れ替わりはじめている。
そのことの痛みにも、もう慣れた。
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