2009年11月19日(木) |
something greatとhumanbeing |
看病生活の次は、お山の仕事である。
県境に近い自然災害跡地に入る。 そんじょそこらの災害地ではなく、並大抵の荒廃ではない。 集落を飲み込み、道を飲み込み、何もかもを撹乱した場所である。
広い谷の中央に広がる不自然な平坦地は。すべて向こうの山から一気に押し寄せた土砂だ。その土砂に削られた両岸の断崖は、生々しい傷跡を残し延々と下流まで続いている。
一瞬のうちに大量の土砂が押し寄せたということが、 その時の轟音や土砂のエネルギーとともにたやすく目に浮かぶ。
被災からとうに二十年以上が経過しているが、そこに立つだけで身がすくむ。
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地球の活動に対して、人間の存在はあまりに小さい。
けれども、人は人なりに一生懸命存在しようとする。
地質年代からみればほんのつかの間の人の世を保つために、 知恵と勇気と汗によって、山腹を安定させ、土砂を秩序ある流下に導き、 ささやかな命の隙間をつくっている。
再び同規模の土石流があったとしたら、こんなものは再び土砂の下に埋まるだけで、何の役にも立たないだろう。 そうだとしても、今を生きることをあきらめないために、人間は努力をする。
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どんな途方もない絶望や困難も、立ち向かった分だけは絶対に克服できる。 沢山の砂防堰堤を俯瞰しながら、そんな気持ちにさせられた。
2007年11月19日(月) 2006年11月19日(日) 2005年11月19日(土) ランディさんと私
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