十代前半、といえば竹馬の友というには少し年齢がいっているかもしれない。 まあでもしかし、そんな幼なじみの一種のようなTちゃんから、 久しぶりに連絡が入る。
旧姓にもどりました、中目黒で犬と暮らしています。
深夜に受け取るメールにしては、ちょっとヘビーだ。 否、深夜に受け取ったからこそ、ヘビーな本質が丸出しになる。 彼女の帰し方行く末を思う。
*
私の誕生日が近づいて、Hはやけに張り切っている。 もうずっと、Hがこの時期に日本にいるのは数年に一度だ。
プレゼントは何がほしいのか、食事は何がいいのかと、問い合わせが相次ぐ。
特段ほしいものは無いし食事も普通でいい、と言うと、 張り合いがないと文句を言われる。Aも、そうだよ派手にやろうと後ろで言う。 あんまりうるさいから、それじゃ豪邸でも買ってくれ、とやっつけておく。
*
何にもいらない、これ以上は。
家族と楽しく一緒にいられて、みな元気で子どもは健やかに成長し、 とにもかくにも生活が成り立っているのだから、本当にもう何もいらない。
人がいとも簡単に孤独におちいる現代社会で、自分は極めて贅沢に幸福に人生を生きていて、誕生日だって迎えることができる。
だからもう、これしか要らないし、これだけは絶対に失いたくない。
2007年09月30日(日) 2006年09月30日(土) 贅沢な祭信頼の明日 2005年09月30日(金) 毒入り林檎パイ 2004年09月30日(木) 日記の初日観察日記
|