ある不毛な議論のあと、林檎パイに着手。 そういう気分ではなかったが、HとAに約束してしまったから仕方がない。
静かな台所でひとり、材料を計量する。 冷たくしたバターと粉を包丁で切り合わせる。 冷水を加えて、生地状にする。
我が身の保身にはしるから、本質を見失うのだ。 議論の残り火で頭が一杯のまま、生地を半分に切り、重ね合わせ、伸す。
ステークホルダーへの説明責任を放棄してやしないか? さらに半分に切り、重ね合わせ、伸す。
そんなことじゃ、良くなるわけがない。三菱自動車と同じ運命だ。 さらに半分に切り、重ね合わせ、伸す。
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気がついたら、やりきれない気分が幾層にも織り込まれたパイ生地で、立派な毒入り林檎パイができていた。
如何にも美味しくなさそうで、 これは、食材に対して世界いち罪な食べ物だなあと思ったけれど、 がやがやと家に帰ってきたHとAが、そんなことは知る由もなく ウマイウマイと胃袋に納めてしまったので、後には何も残らなかった。
2004年09月30日(木) 日記の初日観察日記
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