都心に仕事で出るのはほぼ一年ぶりである。 都会へ出て行くにあたっての心構えはゼロ、丸腰である。
かくして、繁華街を歩いている様はいかにも勧誘や宗教関係の方々の的である。
12時になって、オフィスビルからはきだされるビジネスマンが店屋に吸い込まれていく。国籍も多様なその人達を、どんな人なのだろうと無遠慮に観察したりする。
狭い店の中で、他人と肩を寄せるようにして、どんな人がこしらえたのか分からない焼き魚定食なんかを食べたりしている。
私も昼食をとらねばならぬが、一人で適当な店屋に入ることができない。 どの店も、気心の知れた誰かと一緒でないと、ひどく消耗しそうな感じがする。こんなことは初めてであるから、驚いた。
なんだか、ださださ、よわよわである。
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けれども上手くしたもので、充実した打ち合わせを終えたあとは、すっかりこの、昆虫みたいに群集に溶け込むやり方を思い出した。
空気の薄いところに慣れるには時間をかけるしかない。 お互いに意識から外しあう集団に順化するのも、同様なのである。
これに順化してしまえば、電車の中で化粧するのも、屁の河童である。
皮肉はさておき、人を気にしないでおくというのは、おびただしい数の人間が始終活動しているような都会では、実際のところ必要なことだ。そうしなければ、元気が出ない。すれ違う人全てに挨拶する片田舎とは違うのだ。
2007年01月21日(日) 11人の中の私 2005年01月21日(金) 英語の時間
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