明日は大寒というのに、それにふさわしい寒さがやってこない。 寒いね、などと口にできるうちは、たいしたことないのである。
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天気予報士の「…注意が必要です」といったおどかし口調は、いったい何時ごろから、天気予報の決まり文句になったのだろう。
毎朝毎朝、寒さにおびえ、暑さに警戒し、雨を憂い、なんでもない曇りの日ですら、洗濯物が乾かないことをだしにして、視聴者に注意を喚起する。
勘定したことはないが、このいまいましい天気予報によると、私達の暮らしや健康は、365日のうち300日ぐらい、注意が必要ということになっている。
その日の天気の受け入れ方は二極分化し、申し分のない気持ちのよい日−これは極めて稀であるらしい−と、それ以外の「注意を要する日」しかないと言わんばかりである。
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私達はそんなに弱い生き物ではない。
雨天を、積雪を、寒さを、暑さを引き受け、多様な現象の変化に折り合いをつけて、 さらにはその力を利用したり、また風情を楽しんだりして、生きる知恵と力強さを備えている。
第一、そんなにビクビクと注意ばかりしていたら、身体に毒である。
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おそらく気象予報士は、最高気温、最低気温、気圧の配置といった気象データと、人の暮らしや感性をない交ぜにするから、いけないのだ。 数字だけでモノを言う立場で、よけいなお世話なのである。
2007年01月19日(金) 倫理オセロゲーム 2006年01月19日(木) 2005年01月19日(水) 草稿
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