Hのいない日々が約一月になろうとしている。
寂しいAは、以前のように母一人子一人というわけではないから、 実務に追われる母をよそ目に、その気持ちを一人で引き受けている。
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赤ん坊が寝た後の静かな夜更けに、ふと思い立って、Aをスケッチする。 じっとしていてというと、すまし顔でポーズをとっている。
まだ少し幼児の面影が残るふっくらした頬や鼻筋を、少し伸びた柔らかい髪の毛を、私を見つめる黒目がちな眼を、その真直ぐなままに描く。
出来上がりを見せると、恥ずかしそうにふふん、と鼻をならす。 あなたはもっと可愛いのだけど、お母さんなんだか下手だね、と言いながら、
私はあなたをちゃんと見ているからという気持ちを込めて、 何枚もなんまいも、デッサンする。
2005年11月10日(木) silent violence 2004年11月10日(水) バーチャル懐古
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