落ち葉が舞い散る道で、Aに焚き火の歌を歌ってやったら、 意味が分からないと聞く。
寒い冬の日に、道端の焚き火で暖をとろうか どうしようかと、子どもが相談しているんだよ、と かいつまんで説明したが、今ひとつぴんとこないようだ。
そういう経験をしてないからしょうがないね、と言いかけて そう言う自分自身もそんな経験をした覚えがないことに気付き、 可笑しくなった。
垣根の曲がり角も、落ち葉焚きも、よその人の焚き火の輪に加わることも、 童謡絵本に描かれる世界で、 私は高度成長期のビルの谷間のアスファルトの道路や、 三面張りのコンリート護岸の川で遊んでいたのだった。
それに比べれば、信州で幼少期を過ごすAの方が、 よほど牧歌的な毎日を送っており、私は参りましたと降参するのであった。
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