留守していた家に戻ったら、 Hあてに毎月送られてくる山岳雑誌が届いていた。
熊に襲われた山野井さんは一体どんな連載記事を書いているだろうかと思いながら、 勝手に封を切って読む。 インドへ行っていた甲府のSさんの記事にも目を通す。
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アルパインクライミングの気配を感じるのは、久しぶりである。 家の山道具はすっかりなくなっているし、食卓の話題にのぼるということもない。 社員が全員営業に出払ってしまっている営業所みたいなものなんである。
もしもHが帰ってこなかったら、これはこのままだなあと思う。 そして私は多分、山のことなどまったく何も知らないし、 クライマーなど誰一人知りあいにいない、というふうに生きていくだろう。
そのような自分を想像するのは、何か不思議な感じがする。
2007年11月15日(木) 成仏について 2006年11月15日(水) 西陽の幻 2004年11月15日(月) サラリーをもらって戦地へ行く人
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