浅間日記

2008年06月07日(土) 弱肉強食か共生か

水上勉著「ブンナよ木から下りてこい」を読む。Aに読んでやるつもりで借りてきたもの。

読了し、ちょっと困ってしまう。
果たしてこの物語をAに読んでやってよいものだろうか。
もちろん、弱肉強食の理を無視した子どもだましの芝居よりはましだが、これはあまりに―作品が作られた時代ならともかくとして―今の時代には酷な話のように思われる。

毎日のように流される残忍な死のニュースは、少しずつ私達や子ども達の死生観を蝕んでいる。
―件の物語で、毎日のように仲間やが弱々しい悲鳴とともに鳶や蛇に連れ去られ、蛙のブンナが「いつか自分もそうなるに違いない」と思うように。

弱肉強食は確かに自然のひとつの側面かもしれないけれど、「食われなかった今日を生きる喜び」など、少なくとも人間社会では、あってはならない惨めな感情のように思う。

2007年06月07日(木) 曼荼羅と混沌
2004年06月07日(月) 生きていくことを妨げるメディアというもの


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