2008年02月14日(木) |
災害と文化とヒューマニズム |
世界P.E.Nフォーラム「災害と文化」−叫ぶ、生きる、生きなおす−というイベントが、日本ペンクラブの主催で来週22日から行われる。
東京の生活が時に羨ましくなるのは、こうした興味あるイベントを見つけたとき。 この辺であれば山へふきのとうを採りにいくように、 山手線にひょいと乗って気軽に出かけられるのは、まことに羨ましい。
このフォーラムでは、大江健三郎さんの基調講演を皮切りに、 災害をモチーフにした映像や文学作品や劇、コンサートが催される。
*
私達は人として被災する。
自然の脅威に晒され命を奪われることは、生物に等しい災難である。 植物も動物も、その生息環境が根底からひっくり返るのが、自然災害だ。
けれど、人として被災することは、 社会的に積み上げてきた多くのものを失い、被災した事実を深く自覚する。 何かを大きく飲み込まなくてはならない点で、他の生物と大きく違う。
このフォーラムのテーマは、防災技術や復興技術とはまったく別の方向から光をあてている。 PTSD−心的外傷後ストレス障害−のケアを訴える話とも違う。 想像するに、もっと根本的なことだと思う。
人間は自然の中でしか生きられないという、ほとんど忘れかけていた宿命を目の当たりにした時、 人は最も人間らしい創造性を発揮するのではないか。
日本ペンクラブの人達は、そう問いかけたいのだろうと勝手に思っている。
2006年02月14日(火) 春と光と私 2004年02月14日(土) 見えないナイフ
|