大量のゴミ袋と、疲れてはいるが満足そうな顔をしたHが山から下りてきた。
Hはこの連休、クライマーのちょっとした集まりをやることに決めて、 そのために年明けからずっと奔走していた。
小屋や道路や車を借用する手配をし、発電機をかつぎあげ、 予算を組んで必要な資金調達を行い、参加者へ諸々の案内を出す。 当日も、ガイドのごとく完全にホスト役に徹していたらしい。
生きる小乗仏教とでもいうようなこの男が、何を思ったのか、 己の自己実現を二の次にして、人が集うための骨折りをせっせとやっている。
その様子を、たいそうめずらしいものを見るようにウォッチングしていたが、 Hにこういう面倒な主催を決意させたのは、たぶん、去年の英国での経験だ。
英国の伝統的なアルピニズム。 現役トップクライマー同士の、エキサイティングな交流。 ホストによる、エレガントで有意義なミーティング進行。
異文化を肌で感じ、自分も日本の山でやってみたいと思ったのだろう。
まあ、アクシデントもなく無事に終わってよかった。
2007年02月11日(日) 根を張り枝を張るもの
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