2008年01月24日(木) |
ねがいましては−道路の魔法− |
ガソリン税の暫定税率の維持を支持するべきかどうか、 自治体が右往左往している。
ぱちぱちと算盤をはじいて、国からもらえる分が増えるのか減るのか、勘定している。
もちろん、国からの支給額が目減りすることは地域生活での死活問題だから、仕方が無い。 しっかり計算してほしいとも思う。
でもそのこととは別に、暫定と約束された増税を長年にわたって継続する制度そのものについても、自治体の立場でしっかり意見するべきだと思う。
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道路というインフラに対する住民の強迫観念は、地方にいけばいくほど強くなる。 地方自治体が血眼になって算盤をはじくのには、そうした理由がある。
広域な道路交通網を前提として、地方はその仕組みを変えてきた。
国道のバイパス沿いに土地利用が広がって、旧市街地の老舗は衰退した。 街の玄関口であった駅前も、新幹線停車駅以外は意味の無い空間になった。 高速道路のインターチェンジ周辺は、新たな産業投資の価値をもった。
小さな集落の中で一生を過ごしていたような人々は、 日々の通勤で何十kmも移動するようになったし、 片田舎にいても都会の真似事のような暮らしができるようになった。
でも結局のところ、こうしたものは全て道路の魔法によるもので、 道路と車がなければ、地方の生活はいとも簡単に−シンデレラの魔法がとける様に−50年前の閉鎖的な農村に戻るのだ。
住民は、多分そのことをひどく恐れていて、 地域が結ばれていること−道を維持すること−に強迫観念をおぼえるのである。
それは、車社会によってすっかり脆弱になった己の足腰と徒歩圏の廃れようでは生活が成り立たない、という実態に加えて、 あの頃には戻りたくない、僻地と呼ばれたくないという心情的な面の両方があるように思う。
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