浅間日記

2007年09月21日(金)

家路を辿る前に時間があったので、
分不相応なディナーを楽しむことにした。

重たいドアが開いて、薄暗いフロアに案内される。
時間が時間なのでまだ客は少なく、天井の高いしんとしたテーブルで、
フォアグラを喰らい、サーモンのソテーとホロホロ鳥のグリルを味わう。
ソースの一滴も残さず胃袋に収め、
使っていない皿のようになって、厨房にもどってもらう。

デザートの蜂蜜のアイスクリームは、懐かしいレンゲ蜜の風味。
紅茶で最後を締め括り、恍惚感に酔いしれる。

久しぶりに美味しいものを食べましたよ、とマネージャーらしき人物に告げると、
業務用の−申し分なく丁寧な−反応で、ありがとうございますと返ってくる。

もうあと5年いや10年は、食事において豪奢な変化球はなくてもよいだろう。
何ならば、あと10年ずっと、白い飯とごま塩だけだとしても、
今日この日の記憶があれば、美食などとは無縁でいられるだろう。

まあとにかく、そのぐらいメモリアルなディナーだったというわけである。
逆に言うと、こういうものは10年に1度ぐらいが丁度いいのかもしれない。

2006年09月21日(木) 火災で発芽促進する植物
2005年09月21日(水) 最期のカード
2004年09月21日(火) それでも地球は回る


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