数日前の、夜半のこと。
Hと、凍傷治療で有名なK医師の本についての話題から、 いつしかクライマーの四方山話へ。
素人目にみると、クライマーには三種類ある。
一つ目は、今も登り続けているクライマー、 二つ目は、山をやめたクライマー、 そして三つ目は、遭難で死んでしまったクライマーである。
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Sさんというクライマーがいて、彼は三番目である。 会ったこともなかったけれど、私は彼の書く静かな文章が気に入って、 どんな人だろうと思っているうちに、岩から落ちて死んでしまった。
技術も高く、先鋭的なことをやっていた人だったから、 生きていたら何していただろうね、とHに問うと、 投げやりに、まあ、死んでいただろうね、と無情なことを言う。
生きていたら山をやめるはずもなく、 山を続けていたらいずれ死んでいただろう。
山を続けていたらいずれ死ぬような人が山を続けるのは、 家族にとっては−おそらく気がつかないだろうが−つらいだろうと思う。
2006年06月19日(月) 3浪生の受験日前 2005年06月19日(日) 高密度な労働投下 2004年06月19日(土) 草刈り多国籍軍
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